第59話 理由 その二 ページ11
「それ以外は？」
「それ以外……」
紅葉は手を顎に添え、ううんと頭を捻る。
少しして、口を開いた。
「あとは……強制アンインストール」
「強制？」
「はい。最近では、所謂ブラック本丸という本丸が増えてきています。そのため、強制アンインストールというものが存在するのです」
「なるほど」
まあ、うちの本丸は違うだろうが。
鶯丸と目が合ったが、不安そうな顔はしていなかった。
「あ、それと……」
「まだあるのか」
「辞める理由なんて星の数ほどあるだろう」
「そんだけあったら困るんだがな」
苦笑していると、紅葉は話を続けた。
「病気のせい、とか」
その言葉に、鶯丸はピクリと反応した。
俺も内心焦ってきた。
「病気……？」
「ええ。本丸にいるとそこまで酷い病にはかからないと思うのですが、たまに持病が酷くなって辞任するというケースもあるみたいです」
「あ、主はないか？ 痛いとこあったらすぐ言うとおせ」
団子を頬張っていた陸奥守が、あわあわと紅葉の心配をする。
その様子を微笑ましそうに見て、紅葉は陸奥守の頭を撫でた。
「大丈夫ですよ。私は健康です」
「そうか」
仲がいいんだなあとしみじみしていると、紅葉がまた口を開いた。
「持病がある審神者は、大抵の人が薬で治療します。ですが、薬で治療できなくなるほど酷くなったら、その時は……」
「病院送り、というわけか」
鶯丸の呟きに、紅葉はコクンと頷く。
そして、少ないケースですけどねと付け加えた。
それから雑談を含めアンインストール本丸の話をし、俺達は本丸へ帰っていった。
本丸の門前での事だ。
「なあ、鶯丸」
「なんだ」
「もし主が、結婚を理由に辞めていたらどうしよう」
「それはないだろ。お前は主を信じていないのか」
鶯丸の言葉で、俺は冷静になる。
確かに浮気なんてするやつじゃない。
「そうだな。うん。大丈夫だ」
「ああ」
涼しい風が、俺と鶯丸の髪を揺らす。
風が主を運んできてくれたら、とメルヘンなことを考えても、主は帰ってこない。
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百翠(プロフ) - みゆさん» わーすみません！！帰宅したら更新と共に訂正したいと思います。ご指摘、応援ありがとうございますー！ (2018年5月3日 8時) (
レス) id: 20166d2150 (このIDを非表示/違反報告)
みゆ(プロフ) - 薬研の骨喰君の呼び方、骨兄じゃなくてばみ兄だったと思います！間違ってたらすいません！これからも頑張ってください！ (2018年5月2日 20時) (レス) id: 51fcd1558b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桃翠 x他1人 | 作成日時：2017年12月8日 0時
