久しぶり ページ6
気を引き締めなければいけない、そう感じる公演だった。楽屋の前、帽子を深く被って携帯を覗き込む。ズレた眼鏡を直すと、視界にぴょこっと金髪が入ってきた。
「大吾くん!」
大「ん、お疲れ様。」
ふわふわに巻かれた髪が揺れて、思わず髪の毛を触るように頭を撫でてしまった。ふにゃ、と顔を崩す姿に俺の顔まで崩れていないかとマスクを顎から上げて隠す。
「お久しぶりです!元気にしてました?あ、ちょっと痩せました?」
子犬みたいにまとわりついて質問攻めにされる感覚がすごく懐かしい。
大「一気に喋るな(笑)元気にしとったよ。綿谷こそ痩せたな。ちゃんと食べや?」
「はい。今日どうでした?」
大「詳しいことは一緒にご飯でも食って話そ。」
「え、えっ、良いんですか?まっさんに僕もいいか聞いてきます!」
当然のように踵を返す姿に流星のアドバイスが沁みる。走り出しそうな腕を引いて、んん、と喉を鳴らす。
大「…今日は正門と約束してないから。」
「…じゃあ誰と?」
大「あんたと。」
「ふたり?」
ぽかんとした顔でそんなことを言っている姿にもどかしくなってくる。
大「…あぁ、もう!2人でご飯!はい、いくで?」
「あっ、ちょっと待っててください!」
荷物取ってきます!とバタバタと音を立てて、扉に体をぶつけながら楽屋に入っていく姿を見つめる。本当に可愛い後輩やな。
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作者名:れもん | 作成日時:2023年8月22日 2時