初恋は実らなくても (ページ4)

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連絡ページ4

仕事が終わってすぐに正門から電話がかかってきた。今お鍋食べてるよ〜、と間延びした声を聞きながら今日の晩御飯をお鍋にしようと心で決めると、小さく正門ではない声が入った。もしかして、合っていればだけど…

大「綿谷？」

数秒の沈黙に急に恥ずかしさが増してくる。これで綿谷じゃなかったら正門に煽られるのは間違いない。

〈はい！綿谷です！大吾くんは元気でしたか？〉

突然の大声に一瞬耳がやられそうになってしまった。なんだ、元気やんか。俺に連絡ひとつくらい、くれてもよかったやんか。

大「まぁ、そっちは？」
〈僕は元気でした。狼煙も見に来てくださるんですよね？待ってます。〉
大「ん、じゃあ、」

自分でも驚く程冷たい返事が出た。もっとくだらない話もしたくて、でもとてもそんな気分にはなれなくて、電話を切ろうとするとまた声が聞こえた。

〈忙しい所すみません。電話出来て嬉しかったです！〉
「いや、別にそんな忙しくないけど、」

忙しくないと声に出してから気づく。綿谷はいつも配慮がいきすぎてた。デビュー直後の俺が忙しいと思って、連絡してこなかったんやろか。

〈いやいや、少しでも寝てください。〉

そうや。そういえばこういう子やった。今まで悩んでた自分がアホらしくて笑えてくる。

大「…あのさ、本当に気にせんで連絡してくれていいから。たまには話聞かせてや？」

こうやって言えば、大丈夫やんな？そう思ったのに一向に返事はかえって来なくて少し不安になる。

大「…綿谷？」
〈っはい！連絡します！〉

その声に安心するのと同時に正門が声でか、と笑う。今日、綿谷と喋れてよかった。

大「じゃあ、おやすみ。」
〈おやすみなさい…！〉
正〈おやすみ〜〉

電話が切れた少し後、正門から綿谷とのツーショ付きで「早くしないと俺が奪っちゃうかも」なんてふざけたメッセージが送られてきた。奪うってなんやねん。