鈍感な君を好きになった話2(inar)

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“一緒に行こう。いのちゃん”







あんな目で見つめられて言われたらさ〜








“.....うん”









って言うしかなくない⁉


嫌なんて言ったら絶対また泣いちゃうじゃん！


大ちゃんの悲しそうな顔なんてもう見たくないんだよ〜！！





リフト乗り場に並びながらさっきのことを思い出す









薮もどういう心算なんだ？


恋人の余裕ってやつか？


それか大ちゃんに頼まれたのかな





　

それなら申し訳ないけど...








今何を話しても



前と同じには戻れないと思う



　





　




　




リフトに座ると
ポンと音が鳴って足が地面から離れていく

ボードをつけた左足が重い

　



「いのちゃん...」



「ん？」



「今日楽しい？来て良かった？」





「....なにそれ笑

うん。楽しいよ。スノボなんて久々だし」





「そっか。良かった」








「........」






「........」



　









沈黙が続く
　

　







何か...喋らないと...






　





「薮とは...どう？」





あ〜...なんでよりによってこの話題

　









「どうって....」







「うまくいってんの？」








「........うん。優しいよ。薮ちゃん」




　
　


チクッ




　


「そっか....」









俺は優しくないもんね。




泣かせてばっかだし...




　







「じゃあ...

薮と俺どっちのキスが良かった？」



　





「.......もういいじゃんそういうの」



　





面倒くさそうにあっちの方を見る大ちゃん

その態度にイラッとして言わなくていいことまでどんどん口を突いて出てくる







「薮は経験豊富だから上手いだろうね」





「.......」



　


　



　






「俺も...



女の子とキスしたよ」





「えっ...」







俺の言葉に驚いた表情でこちらを向く


自分だって薮といろいろやってるくせに...

　




「大ちゃんと練習しといて良かったよ
全然緊張もしなくて自然にできたし」







「.......そうなんだ」





「うん」





　



そこから黙ってしまった大ちゃん

下向いてずっとグローブいじってて

俺もこの状況から何も話すこともなくて



頂上に着くまで最悪の空気だった


　





「はぁ〜....」



せっかく楽しい感じだったのに

なんであんなこと言っちゃったんだろう




座って右足のブーツ装着してたら先に大ちゃんが滑り出した

ちょっと気まずいし少し時間を空けて俺も出発した

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