【2j3j】君と目が合って好きだと気づいた (ページ5)

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私の座ってる席は前の方だった。彼の顔がギリギリ見えるくらいの距離なのに彼と視線が交じりあった気がした。何か伝えたいことがあるのだろうかと思い真剣に彼を見ていると口をパクパクしていた。1文字1文字をゆっくり話していたから普段なら何言ってるか分からないと言う私でも分かってしまった。

" カッコええやろ？ "

そうだねマナはカッコイイよ。

私が小さい時自転車なかなか上手く乗れなくて諦めようとしてた時上手く乗れるまでやろう手伝うからとか言って夜遅くまで練習に付き合ってくれたこと。

長い黒髪が幽霊みたいで気持ち悪いと男の子に馬鹿にされた時、先生よりもライよりも先にその子に怒ってくれたこと。

彼は昔から私のヒーローだった。

" カッコよかった "

そう口パクで言えば今日の朝のライみたいに顔を少し赤らめ嬉しそうに笑う彼が見えた。そんな彼にまた皆は釘付け拍手大喝采だ。彼の今の微笑みで何百人の人が何千人の人が恋に落ちただろうか。

嗚呼、彼が羨ましい。

みんなの視線を奪ってしまう彼が

私ができないことをさらっと成し遂げてしまう彼が

太陽の光に当たりこれからの生活を送っていける彼が

羨ましい。

きっと私は太陽の光など知らない中学時代のようにここで5年間を過ごすのだろう。この物語の主人公は私じゃなく彼らなのかもしれない。