YOU (ページ8)

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『待ってください!!

私家なんてありません……!!』

何故彼は私と距離を縮めようとするのだろうか
不思議で堪らなかった。
これから神父は彼らは私はどうなるのだろう。
少なくとも私はもう元の暮らしには戻れないだろう。

そうぐるぐると考えていれば気がつけば神父の部屋に到着し部屋を出ようとしていた。
私には帰る家もない。それにこの神父のことをどうにかしなければいけない。神にもまだあっていないのに。

彼の手を叩き距離をとった時私の目はまた自然と本棚の方に向いていた

「やっぱりこの本棚気になるよね」

『 … 』

「よくミステリー小説であるよね。

本棚の裏に隠し扉があるって」

ミステリー小説がよくわからず頷くこともできない私を置いて彼は本棚に近づいていき1冊の本を取り出してはその奥へと手を伸ばす。

ガコンと重い音は離れた距離にいる私にもはっきりと聞こえる音量だった。

「見つけた。」

「行こう。

僕たちの仲間を助けに」

手をこちらへ伸ばし微笑む姿はまるで聖母マリアのようであった。
なぞの安心感に私は無意識に彼の手に己の手を重ねる。
はっとなり彼の顔を見れば少し驚いていたがすぐ視線が交差すれば先程の笑みを浮かべ手を引っ張り私を本棚の奥へと連れ込むのだった。

私に仲間なんて居たっけ