YOU (ページ3)

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何故だろう。何度試しても同じだ。
目の前にいる神父の顔を軽く叩いてみたが声1つ出さない。

もしかして時が止まっている……？

いや、そんなはずない。

私へのイタズラに決まっている。困った私を見て噂しバカにするつもりなんだ。

コウエンもイチバもないこの村、街に遊ぶ者はいても物はない。暇になった彼らは定期的に私にイタズラをしかけ楽しむのである。

しかしどうだろう私の周りにいる人を蹴っても服を引っ張っても誰も何も言わないのだ。

『いい加減にしてください。貴方達がイタズラをしていることはわかっているです。』

「 …… 」

『 …返事もしてくれないのですね。』

どうせ私が神の声が聞こえると聞いてこんなことをしているんだ嗚呼、きっとそうにちがいない。

『誰も知らない… ねぇ、』

神父越しに見える古い協会。
誰も知らない協会の奥の部屋。
もしも時が止まっているのなら、チャンスは今しかないだろう。

こちらへずっと微笑みかける神父は見れば見るほど気味が悪い。まるで獲物を見つけたように企んでいるように。

『有難く貰いますね。ありがとうございます神父様。貴方は私たち村人の神でございます。』

彼等に聞こえていてはマズイ。私は心の底から思ってそうで思ってなさそうな言葉を吐き神父の手にあるパンは無理矢理神父の手から引っこ抜き有難く貰うことにした。

ほら、腹が減っては戦ができぬって言うでしょ？？意味はよくわからないけれど

乾ききった地面を蹴れば神父の周りにたくさんの砂埃が現れた。
時が動いた時が楽しみだ。

" さぁ、早くこちらへ愛しい子よ "

教会から聞こえる優しく落ち着く私にしか聞こえないであろう声の正体はきっと神であろう。

『今そちらへ参ります。』

私の神は貴方様しかいません