YOU (ページ19)

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「エデン、つまり楽園。
平和そうな名前がついているのにどうして2度も滅びかけたのか、

君には分かるかい？」

マグカップに口をつけ一息ついた彼は私に問う。何故魔女狩り後にこの地が滅びかけたのか。

『魔女の力が無くなったから』

このエデンは魔女の力を使用する事で他国からの攻撃や大災害を塞いでいた。他のところと比べれば魔女も優しい人が多いと叶さんから聞いたことがあった。だからだろうか

山から見えるエデンは都市は栄えているものの周りはスラムだらけで格差が丸わかりだった。

本で見たエデンの街とは大違いなのだ。

「科学技術の最先端に立つエデン。それは魔女と人が力を合わせ協力していたから。

魔女狩りなんてすればこの街が無くなることなんて誰でも分かること。」

なら魔女狩りが行われて今に至るまでココは耐えることが出来たのだろう。

『 …まだ生き残っている魔女がいるのですね。』

「正解。

魔女狩りが行われるのに僕達エデンの民は勿論猛反対した。

この国を囲むバリアがある以上僕たちの国にいる魔女の安全は確保されているからきっと大丈夫だと思ってた。

今思えばその時の油断がいけなかったんだと思う。

魔女狩りが行われる3日くらい前だったかな。
何故かバリアの1部に穴が空いてそこから敵が侵入して魔女を次から次まで連れ去って行ったんだ。

バリアは国にいる魔女全員の魔力でできた強力なものだからそう簡単に壊れるはずがない。

幸い僕はレオスくんの研究所にいたから連れていかれずに済んだんだけど他の仲間はみんな行方不明。」

「きっと彼らならそこら辺の雑草でも食って生きてると思いますけどねぇ」

マグカップの中にあるココアを飲む彼ら2人の目は何処か寂しさと不安がある気がした。

「 1度目は津波により街が飲み込まれかけ2度目は街が燃え尽くされかけた。

大きな出来事だから歴史書にも乗ってるはずなんだけど… 」

『知っています。
他にも大災害にならなかっただけで森にいる動物達の大暴走や砂漠化された地域からの黄砂など、

他の国では起こっていないことがエデンでは多く見られると。』

｢その歳でそこまで頭に入っているとは…

勘のいい君ならそろそろわかってるんじゃないかな。｣

少し冷め生温くなってしまったココアに映る私は一体どのような表情をしていたのだろうか。