壱 ページ1
ーーーー時は明治初期
ある街の一角に、大変繁盛していた医院があったという。
そこは肺結核や3日ころり等で、どの医者にも治せない、と見放された患者が辿り着く最後の医院。
若い男女二人が経営する医院だという。
なんでも、素晴らしい催眠療法の腕で、不治と恐れられている病を治してしまうというのだ。
男「先生、ありがとうございます!!お陰様で3日ころりもすっかり良くなったんです!」
?「ふふふ、それは良かったです。ではまた明日、最後の治療を行いますので同じ時間にお越しください」
男「はい!ありがてぇ!またお願いします!
魘夢先生!」
女性のように整った顔で目を細め、笑顔で患者を見送る男。魘夢。
玄関でその患者から金を受け取り、サラサラと紙に記録し、笑顔で患者を見送る女。A。
Aは患者が見えなくなるまで見送ると、玄関の扉を閉めた。
そして着物の裾をたくしあげていた半幅帯を解き、玄関につっかえ棒を刺して開けられないようにする。
彼女がふぅと一息つくと、魘夢は両手を広げて彼女の方へ向く
魘「おいで。今日もご苦労だったね」
Aはふふふと笑い、魘夢の腕の中に飛び込む。
そう、彼らは恋仲。
しかし時は江戸。まだ命令婚が主流であり、本来あってはならない状態。
この関係が外に知れれば大変な事になるが、彼等はそんな事は関係なく、幸せに過ごしていた。
彼等「は」。
87人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ