スラ厶街より (ページ35)

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落胆ページ35

「君は俺に念能力を預けないと思った」

最初にスキルハンターのやり取りをしたあとにClが言ったのはそれだ。

「Luは俺のことを信頼してないと思ってたから」

「随分言いにくいことを素直に聞くんだな」

「ああ」

Clはいつもの一見爽やかな笑顔で頷いたあと、答えを促すべく首を傾げた。

「...信頼するよ。曲がりなりにも仲間だからな」

(と、この場面では言うべきなのだろう)

Luには確信があった。

Clは盗賊団の仲間にはなるべく誠実であろうと振る舞っていること。
それは本人の気質として「そうしたいから」という以上に、「そうでなければ他の仲間からも信頼されなくなるから」という打算が働いているはずだ。

(盗賊団の仲間にたる私に能力を返さなければ、他の仲間たちもクロロに能力を渡すのを躊躇うようになるはず。

お前の能力の性質としては裏切られる心配のない協力者を失うのは痛いだろ？)

スキルハンターは強力だが盗むまでの制約が大きい。

Clだけではその能力を活かしきれず、盗賊団の仲間·特にSrのような操作系の能力者の手助けが欲しくなる。

Luの“信頼する”宣言を受けて何を思ったかClは声を上げて笑った。
「台詞がクサかったか？」

「...いや？ただ下らない仮説が思いついただけだよ」

「なんだ」

「今は言わない」

(はぁ？)

目を細めたLuをClは楽しそうに見ていたのだった。

✠

インフラ整備も義賊の活動もまあ上手くいっているのだ。

しかし問題は工場長との話が進まないこと、そして議会の動きだった。

あれから何度か工場長に話をしにいっていたのだが、面会が叶うことはなかった。

その上、警備員や監視カメラが増えてしまい、中に入るときの身分証明まで必要になってしまった。

「分別のお兄さんに、商売あがったりだから止めろと言われてしまった...」

Luは珍しく本気で落ち込んだ様子で、訓練生の授業中でもしかめ面を続けていた。

「なにメソメソしてんの？」

Mcに声をかけられて暗い顔を上げる。

「別に泣いてなどいない」

「あっそ。どーでもいいけど暗い顔すんの止めな。今、処分場とか道づくり手伝ってくれてる奴らが不安になってるでしょ」

「...その通りだと思う」

Luは同意を示し無理やり平静さを取り戻そうとぎこちなく笑ってみた。

「キモい」

Mcがずけずけと言った。

「あのさ...ここだけの話なんだけどね？」

横で聞いていたSrがMcとLuだけに聞こえるように小声で呟く。