スラ厶街より (ページ33)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:668 hit

目標ページ33

「中古の軽トラでいいんだよ。車両が通るくらい道路を整備したいんだ。

処分場から作って外へ外へと道路を伸ばしていきたいんだけど、最初の処分場は北に作ってもいいか？」

「第一次処分場は何をする場所？」

Mcが尋ねた。

「えー、先進国の災害廃棄物の処理方法から引用した用語だ

地震が多いジャポンみたいな島国では、大地震の残骸を住民やボランティアの手で綺麗にしていかなくちゃいけない。各家庭で出たごみを置く場所がほしい」

その場合の一次的なもの置き場のような形で第一次処分場が作られる。

「木くず、金属くず、家電類...大まかに分類しておきつつ一箇所に纏めるのが第一次処分場の役割」

「ふうん」

「この地図を見てくれ」

Luが作ったマップをもとに人々の動線を考えごみの量から必要な処分場の規模を考えて計画した、道路と処分場の設置予定図だ。

処分場は北に2箇所、西に3箇所、南と東に1箇所ずつ作る計算。

(生活ごみが多くて処理しやすい東の山脈付近から始めたいが、あそこに迂闊に手を出すと長老や議会の面々が黙っていなさそうだしな...)

「異論なければ地図のココから作り始める。作業分担していこう」

Luたちの大忙しな日々が始まった。

やらなければならないことは主に3つあった。

まず1つ目。

道路づくり。

「まずは土の面を平にしてほしい。道幅は3m、断面斜面にして排水路を作っていく」

北の年間降水量は200mmを下るものの、局所的に大雨が降ることがあり浸水は恐ろしい。

排水溝に大きな石を詰めることで崩れるのを防ぐ。

2つ目。

取引相手との交渉。

「シャルナークは交渉が得意そうだよな」

「まー"世渡り上手"ですから？」

根に持ってる、と示すようにふふんと鼻を鳴らしたSrにLuは苦笑して「悪かった」と言った。

「どうして？」

「今皆で必死にごみの処分場作ってるだろ？アレで分別したごみを処理してくれる業者を探してるんだが」

リサイクル工場の場所ごとに、引き取りが許可される汚れ具合や痛み具合は違うのだ。

それをよく相談しておく必要がある。

「例の東の...ごみ分別のお兄さんが居ただろ？」
「うん」
「彼に聞いたらさ。業者には流星街の人間だとは明かさずに取引してたらしい」
「へえ？」

流星街の人間とは取引したくないというのは、カキン帝国に住んでいる事業者として珍しいことではないらしく。

「あのお兄さんは、いつもカキンのホームレスを装って取引していたそうだ」