スラ厶街より (ページ2)

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長老と対面ページ2

(なんて酷い場所だろう)

流星街に入ってすぐ、少女は愕然とした。

まだ昼前だったはず。

けれども空気中に飛び交う汚染物質に太陽が照りかえって、あたりは灰色に歪んでいた。

遠くは見えない。

近くにあるのは途方もない、多種多様なごみの山。

道行く老人たちは皆、病で黄色い目をして、右肩だけが妙に前に突き出ていた。彼らは時々酷く咳き込んだ。

若者たちはそこまで酷くないものの、右腕に無数の引っかき傷が残っている。

後に少女は、それらがごみ拾いというきつい仕事の代償であることを知る。

「お前は、新しく流星街にやって来た者か」

ガスマスクをつけた見張りの男らしき人物に声をかけられ、少女の体は硬直した。

「お前はここに捨てられてきたのか」
「...はい」
「その年まで外に居たなら、名前があるはずだろう？国民番号は？」
「...」

(やはり聞かれたか)

Luは、あらかじめ決めておいた偽装された名前と国民番号を告げた。

見張りの男はLuの手を引きあるき出す。

「どこへ向かうのですか？」
「長老のところだ」
「長老？」
「行けば分かる」

「...」

Luは生唾を飲み込んだ。

(もしかして私の計画が既にバレてしまったのだろうか...？)

Luは少々不安になってきて、キョロキョロと辺りを見回す。

ゴミをのけただけの粗雑な道路、バラック小屋(※柱4本にシートをかぶせただけの粗末な小屋)、ゴミの袋を体の下に仕舞ってお腹を出して眠る人々。

「着いたぞ」

街の過密部、大通りを囲むようにずらりとレンガづくりの家が並んでいた。
レンガといっても砂の含有量が多い、脆くちゃちな造りの家ではあったが。

家々の上部には蜘蛛の巣のようにネットがかかっている。

これは後で知ることだが、2階以上に住んでいる人間が窓から生活ごみを捨てることが頻発するらしく、道がごみで埋まらないよう受け止めるためのネットらしい。

「長老!新入りだよ」

他と大差ないこじんまりとしたボロ家だった。

見張りが家のドア代わりの薄布を括って中に入る。Luも続けて、会釈して中に入った。