隣にいてもいいですか【3】 (ページ47)

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G#18 ページ47

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“１９”から“１８”

今シーズンから背中の数字が変更された。
数字は変わったけど頼もしい背中は変わらないし
投球する姿は変わらずかっこいい

ブルペンで調整する彼を少し離れた場所で
見させてもらっていると突然肩を叩かれた。

「Aちゃん久しぶり」

『小林くん、お久しぶりです』

「今日来てたんだね」

『お邪魔させてもらってます』

「もっと近くで見たら？」

『あ、いえ、ここで充分です！』

「遠慮せずにほら」

『ちょっと』

「もっと近くで智之のこと見てあげて」

『い、いいです！本当に大丈夫です！』

小林くんは私の制止を聞かず
手を引きブルペンの中に足を進めた。

傍で見れるのは嬉しいけど
今日来ることは彼に伝えないので怒られるかも
だから正直会いたくないのが本音

そんな私の気持ちを知らない優しい小林くんは
投球する彼の近くまで私を連れてきてくれた。

「智之」

「おせぇよ」

「お前さー、もっと近くで見させてあげなよ」

「なにが」

「奥さん」

「奥さん？」

『わ、わたしです』

「...なんでここに居るの」

『すいません』

「なんで居るのか聞いてんだけど」

『あの、たまたまスタッフさんが私に気付いてくれて
それで監督にご挨拶をすることになって...すいません』

「監督が入れたの？」

『はい...気を使っていただいて』

「監督に気を使わせたんだ」

『ごめんなさい』

投球をやめた彼は鋭い目で私をブルペンから見ている
蛇に睨まれた蛙状態の私はただ謝ることしかできない

隣にいる小林くんは私たちのやり取りを
呆れた顔をしながら見ていた。

「これが夫婦の会話なん？」

「お前も結婚すれば分かる」

「こんな会話聞かされたら結婚したくなくなるわ」

『すいません』

「Aちゃんが謝ることじゃないよ、智之が悪い」

「それより早くブルペン入れよ」

「はいはい」

『じゃあ...私は失礼します』

「Aちゃん見てていいよ」

『いえ、私は帰ります』

「帰るん？試合は？」

『ご迷惑みたいなので帰ります』

何しに来たんだよと言いたげな彼と
心配そうに私を見る小林くん２人に
頭を下げ急ぎ足で来た道を戻る。

本当に何しに来たんだろう

最近ずっとテレビ越しでの観戦だったから
久しぶりに球場で見たいと思い立ち当日券を購入

急に来たら迷惑かけるからと思い伝えなかったけど
逆にそれが迷惑かけることになってしまった。