隣にいてもいいですか【3】 (ページ46)

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De#11 ページ46

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『か、かみちゃや』

「かみちゃたにです」

『かみ、ちゃちゃたに』

「呼びにくい苗字ですいません」

『いやいや、かっこいい苗字だね！』

「ありがとうございます」

『かみちたに』

「かみちゃたにです」

『...ごめん』

今年のルーキー上茶谷くん
ドラフト１位の右ピッチャー

制球が持ち味で特技はモノマネ
そしてなにより苗字が珍しい

わざわざ挨拶に来てくれたのに
全然苗字が呼べなくて困ってる

『下の名前で呼んでもいいかな...？』

「大丈夫です」

『ありがとう！じゃあ大河くんね』

「はい、よろしくお願いします！」

緊張気味に頭を下げる大河くん
初々しくて可愛い

去年の彼もこんな感じだったな
初々しかった彼はどんどん成長していき大活躍
たくさんチームを救い、新人王に輝いた。

大河くんもそうなって欲しいな

『頑張ってね、大河くん』

「はい！」

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「Aさん」

『東くんお疲れ様』

「かみちゃ挨拶に来たんっすね」

『うん、東くん知り合いなの？』

「大学時代に知り合いました」

『そうだったんだ～、大河くんいい子だね！』

「大河くん？」

『大河くん』

「なんで下の名前で呼んでるんですか」

『苗字が上手く呼べないから』

「ふーん」

面白くなさそうにむくれる東くん

彼の膨らんだ頬を突っつき
口の中の空気を抜いてあげる。

「かみちゃだけズルい」

『ズルいって』

「俺も名前で呼んでください」

『東って呼びやすいのに？』

「そういう問題じゃないんっすよ」

『じゃあどういう問題なの』

「..............」

『東くん？』

「好きな人には名前で呼んでもらいたいんです」

『そ、それって』

「男心も分かってください」

『......すいません』

東くんは何故か妙に懐いてくれるので
弟のように可愛いがってたけど
全然気付かかなかった。

「まぁこれからですね」

『こ、これから？』

「これから名前で呼び合える関係になればいいんで」

『............』

「首を長くして待ってますよ、Aさん」

『.....はい』

小悪魔のように笑う彼に
私の心臓が徐々に早く鳴り始める

首は長くしなくてもいいかも

✽+†+✽――✽+†+✽

かみちゃたにが言えない。
そして東くんお帰りなさい

苦しみの先に明るい未来があると信じて
(FOR REAL)