隣にいてもいいですか【3】 (ページ38)

今日:4 hit、昨日:1 hit、合計:162,412 hit

⑥-Sh#36- ページ38

.

牧原くんと睨み合いながらホテルに戻る。

明石さんは明日のことで話しがあるからと
私たちに苦笑いを向けながらスタッフと去っていた。

取り残された私たちは部屋に戻る為にエレベーターに向かう

上のボタンを押して待つ私たちには会話はなく
また微妙な空気が流れていた。

誰か来てくれることを強く願ったが
こんな時に限って誰も来てくれず
結局牧原くんとエレベーターに乗ることになってしまった。

重たい空気の中、牧原くんが口を開いた。

「なぁ」

『なんですか？』

「明石さんのこと好きなん？」

『好きですよ』

「は？釣り合うと思ってんの？」

『......牧原くんには関係ないでしょ』

私の部屋の階にエレベーターは到着し扉が開く
私はそのまま出ようとしたが手首を掴まれ立ち止まる。

『離してください』

「関係あるんだよ」

『は？』

「俺には関係あるんだよ！」

『え、ちょっと』

声を荒らげた牧原くんに閉じるボタンを押される。
出なきゃいけないのに強く掴まれて出られない

扉は目の前で閉まってしまった。

『何するんですか！』

「話があるから来て」

『私にはありません』

「俺にはある！」

真剣な顔で見つめてくる牧原くん
これ以上騒ぐと他のお客さんや関係者に
不審に思われるから黙って従うことにした。

牧原くんの部屋の階に到着すると
彼は私の手首を掴んだまま廊下を歩き出す。

部屋の鍵をあけ扉が開き私を部屋に招く
手首を掴まれたままなので素直に入る。

スタッフの私なんかより広い部屋に驚きながら
いつでも部屋から出られるように扉の近くで立ち止まる。

牧原くんは部屋の奥に入り振り返った。

『それで？』

「これ」

『なに』

「あげる」

『は？』

「もらって」

牧原くんから差し出されたのは
綺麗に包装された箱だった。

見覚えのある包装紙

これ、大成が好きな

チョコレート

「毎年Aが俺にくれたやつ」

『......なんで』

「今年は俺が渡したくて」

『そういうことを聞いてるんじゃない』

「A」

『私達もう別れたんだよ？』

「うん」

『牧原くんが私のこと捨てんだよ？』

「...裏切ってごめん」