もしあなたが【短編】 (ページ42)

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De#9-後日談- ページ42

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前回のDe#9の後日談です。
そちらを先に読んでいただけると
内容が分かりやすいです。

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「A」

『..................』

「そろそろ出ないと」

『うーん』

「A」

『んー』

「遅刻する」

玄関で大和さんの背中に抱き着いてから
数分経ってるけど離れたくない。

しばらく会えないから

それに不安で離したくない

大きな荷物を持ったままの大和さんはそんな私を
無理やり引き剥がすことなく優しく宥めてくれる。

「着いたら電話する」

『......本当に？』

「本当に」

『絶対ですよ？』

「絶対」

『大和さん』

「ん？」

『浮気しないで』

「...するわけない」

大和さんは明日から泊まりの出張
同行するのは私ではなく後輩

後輩は男性ではなく女性

だから不安

私みたいなことが起こるんじゃないかって

大和さんはかっこいいから

「不安？」

『はい』

「ちゃんとシングル２部屋予約したんだろ？」

『何度も確認しました！』

「じゃあ大丈夫」

『んーでも』

「A」

『....はい』

大和さんは私の手を優しく剥がし向き合う
そして頬に手を添え唇を重ねてくれた。

まるで私を安心させるような
優しくて暖かい口付け

数え切れないほど
何度も重ね合い、見つめ合う

「A」

『大和さん』

「.........好きだよ」

『え』

交際して１年

口下手な大和さんから好きだなんて
甘い言葉を言われたことないから驚く

恥ずかしそうに目を逸らしながら
大和さんは言葉を続けた

「だから安心して」

『は、はい』

「今夜電話する」

『待ってます』

「ん」

もう一度軽く口付けをして大和さんを見送る。

たった一言

好きだと言われただけで
不安は気持ちはどこかに飛んで行ってしまった。