もしあなたが【短編】 (ページ39)

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ソファに座る明石さんの前にお茶を出す
明石さんは足元にいるサクラを
優しい目で見つめていた

いいなー

『明石さんご飯食べました？』

「んーまだ」

『あの、良かったら食べますか？』

「いいの？」

『簡単な物しか作れませんけど』

「充分」

『じゃあ少し待っててください』

「うん」

キッチンに移動し簡単な物を作る

数十分経って出来上がったものを
リビングに持っていくと
サクラが明石さんの膝の上で
リラックスした表情で甘えている

羨ましい

明石さんの膝に乗れるなんて

しかも頭まで撫でてもらって

羨ましい

『すっかり...懐いてますね』

「サクラちゃん可愛いね～」

『た、楽しそうでよかったです』

数十分の内になにがあったんだと
疑問に思うくらい懐いてる

よく家に来る友達でさえも今だに
警戒する子なのにたった数十分で
膝の上に乗りお腹を見せてる

この子まさかイケメンが好きなのかな

そんな所まで主人に似なくても

『あ、どうぞ』

「ありがとう」

『簡単な物ですいません』

「美味しそう...いただきます」

『サクラおいで』

ご飯食べる明石さんの邪魔になるから
膝の上にいるサクラを呼ぶ

いつもならすぐこっちに寄ってくるのに
顔だけ向けて全然動こうとしない

まるでここは私の場所だと言わんばかりに
我がもの顔でお腹を見せている

「邪魔じゃないから大丈夫だよ」

『...すいません』

「サクラちゃん癒される」

『仕事のストレスとか吹き飛びますよね』

「うん」

膝に座ってるサクラを見ながら
ご飯を食べている明石さんを
私は見つめる

横顔もかっこいい

「A」

『は、はい』

「サクラってすぐ懐くの？」

『どちらかと言うと警戒心強い子です』

「すぐ寄ってきてくれたけどなー」

『友達が来ても全然寄らないですよ』

「友達って女の子？」

『はい』

「男の人は？」

『どうでしょう...飼い始めてから男性を入れたことないので』

「彼氏は？」

『......いません』

「へぇーいないんだ」

私の返答に意味深な反応をしながら
膝の上にいるサクラを見ながら
箸を進めている

『あ、明石さんは』

「ん？」

『彼女...いるん...ですか』

「いないよ」

『そう...なんですね』

「この歳でいないとかまずいよね」

『明石さんならすぐできますよ』

「んーそれがなかなか」