もしあなたが【短編】 (ページ34)

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C#6 ページ34

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授業後、窓から聞こえる生徒の声に耳を傾けながら
保護者向けのプリントを作成する。

インフルエンザが流行ってきたので注意を促すプリント

しばらくして保健室の扉が開く音がし
目を向けるとよくここに来る生徒が立っていた。

また部活中に怪我をしたのかと思ったけど今日は制服姿

いつも元気よく入ってくるのに今日は部屋に入らず立っている。

『また怪我したの？』

「...............」

『安部くん？』

「...............」

『とりあえず入ったら？』

「ん」

部屋に入ってきた安部くんの為に私の前に椅子を出す。

椅子に座った彼はじっと私を見てきた。

『悩み事があるなら聞くよ？』

「.........結婚すんの？」

『え？誰が.....わ、わたし？』

「女子が噂しとる」

『えーそうなんだ(笑)』

「A、結婚すんの？」

『ふふっ(笑)』

真剣な顔をする安部くんが面白く笑ってしまった。

安部くんはそれを見て私を睨みつけてきた。

『ごめん(笑)』

「で？」

『しないよ』

「...............」

『本当に』

「なんだー！」

悩みが解決できたのか安部くんは難しい顔からいつもの笑顔に
そして椅子を動かして私の隣に移動してきた。

さっきよりも近い距離に戸惑う。

「やっぱり噂かー！」

『嬉しそうだね』

「まぁね～(笑)」

『......近くない？』

「もっと近付きたいんやけど」

さらに近づこうと身を乗り出してきたので
私は椅子を動かし距離をとって話題を変えた。

『あ、聞いたよ？球団から調査書届いたんだよね』

「うん、１２枚書かんといかん」

『...１２球団きたってこと？』

「うん」

『安部くんすごいね！』

「そうかー？指名受けたわけやないし(笑)」

『大丈夫だよー安部くんなら絶対指名される！』

「絶対？」

『うん、絶対！安部くんなら絶対プロ野球選手になれるよ』

「......A」

『だから...っ』

安部くんはまた椅子を動かし近付いてきたので
私もまた椅子を動かし安部くんから離れようとしたが
椅子を掴まれ阻止された。

「俺がプロ野球選手になったら結婚して」

『...え？』

「俺と結婚しよう」

『あ、あの』

「本気だから」

『で、でも私たちは教師と生徒だし』

「卒業したら関係ない」

『ね、ねんれいが「年の差も関係ない」

「俺のものになれよ」

『........っ』

噂は本当になるかもしれない

安部くんの唇の感触を感じながら悟った。