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『大和さん』
「ん？」
『もう、いいですよ』
「......ごめん」
『え？』
「嫌だよな...ごめん」
『あ、い、嫌じゃないです！』
離れる腕を無意識に掴んでしまった。
自分からいいって言い出したのに
でも大和さんはまた優しく抱き締めてくれた。
『大和さんが...嫌じゃなければ...』
「嫌じゃない」
『...よかった』
「ただ」
『はい』
「もう少し真ん中に行こう」
『あ、はい』
私は気を使ってベッドの端っこにいる。
いつ落ちてもおかしくない位置で寝ている私を大和さんは
心配してくれたようで真ん中に行くことを提案してくれた。
私と大和さんは起き上がりベッドの真ん中に移動する。
寝転がる大和さんのすぐ横に私も寝転がるが
背を向けて寝転がらないといけないのに間違えて
大和さんと向き合った状態で寝転がってしまった。
慌てて後ろを向こうとしたがその前に大和さんの腕が伸び
そのまま大和さんの胸に私の顔がうまった。
大和さん...暖かくていい匂いがする。
調子に乗って心臓の音に耳を傾けると意外にも早い鼓動に驚く
『大和さん』
「ん？」
『大和さんも...ドキドキするんですね』
「そりゃするやろ」
『んーなんか意外です』
「意外？」
『だっていつも冷静なのに』
「.........表情に出すの下手なだけ」
『じゃあ緊張したりテンパったりすることあるんですか？』
「する」
『例えば？』
「シャワーの音とか」
『シャワーの音？』
「シャンプーの匂いとか」
『大和さん？』
「好きな子を抱き締めてる時とか」
『..................え』
「もう寝よう」
『あ、あの、それは』
「明日も早いし寝よう」
『......はい』
私は大和さんの胸に顔をうめ耳を傾けるとドキドキしていた。
その音が心地よくて雷の音なんて耳に入らなくなっていた。
.
『大和さん』
「ん？」
『あの、明日の、部屋は』
「ダブルで予約しておいた」
『...はい！』
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作者名：おれんじ | 作成日時：2019年1月1日 18時
