もしあなたが【短編】 (ページ32)

今日:15 hit、昨日:3 hit、合計:130,839 hit

. ページ32

.

テレビを観ていたら窓から激しい雨の音が
今夜から明日にかけて雨らしいけどこんなに強く降るなんて

嫌な予感がする。

窓を見ていたらシャワーを浴び終えた大和さんが戻ってきた。

「どうした？」

『雨強くなってきましたね』

「今夜から明日にかけて酷いらしい」

『か、雷、鳴りますかね』

「.........怖い？」

『こ、怖くな......っ』

「ん？」

怖くないって言いたかったけど視界に入ってきた大和さんが
お風呂上がりのせいか色気がすごくて思わず息を飲んだ。

ホテルに置いてあるダサいナイトウェアを着ているんだけど
大和さんが着ると全然ダサく見えない、むしろかっこよく見える
私は空いてる胸元に目が離せなくなる。

シャワーを浴び終え落ち着いていた心臓がまた動き出した。

「A？」

『あ、なんでも...ないです』

「ん」

『..................』

「..................」

『......寝ますか』

「眠い？」

『はい』

「じゃあ寝よう」

『私ソファで寝ますからベッド使ってください』

「は？なんで」

『なんでって』

「広いから２人とも寝れる」

そういう問題じゃ...と反論したかったが
大和さんはベッドに腰掛け私が来るのを待っている。

嬉しいのか悲しいのか複雑な気持ちのままベッドに入った。

それを確認して大和さんは部屋の電気を消す。

大和さんに背を向けて目をつぶる。

早く寝よう...寝て起きて早くこの状況から抜け出したい。

そう思ってるのに変に意識してるせいかなかなか眠れない。

静かな部屋に雨の音が響く

しばらくして窓の方から眩しく光り
少し遅れて嫌な音が響き渡った。

雷

私は慌てて耳を塞ぐ

大人のくせにって思われるかもしれないけど
子供の頃からこの音が苦手で...怖い。

何度も鳴る雷の音に身体が震える。

『.........っ』

「A？」

『は、はい』

「........嫌かもしれないけど我慢して」

『え？』

大和さんは私の身体を後ろから抱き締めてくれた。

『や、大和さん？』

「無理すんな」

『.......で、でも』

「大丈夫」

『.............』

「大丈夫だから」

『..............』

大和さんの体温を感じる。

落ち着く

恐怖心は徐々に消えていった。

ずっとこのまま大和さんを感じていたい