もしあなたが【短編】 (ページ28)

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『誠也くん、お昼ご飯一緒に行かない？』

「行きます！」

『じゃあいつもの定食屋行こう』

「もちろんA先輩の奢りですよね？」

『たまには自分で払って』

「えー俺今月ピンチなんっすよー」

『今月って言うか毎月でしょ』

誠也くんの指導係になってもうすぐ１年
彼のことは結構理解しているつもり。

毎月無駄使いをして月末になるとひもじい生活をしてることも
それが見ていられなくて月末になるとこうしてご飯に誘う

見ていられないなんて口実...本当は誠也くんと一緒にいたいだけ

「先輩」

『やだ』

「まだ何も言ってないんですけど」

『一口ちょうだいでしょ』

「..................」

『誠也くんの一口大きいから絶対にやだ』

「大丈夫っす！ちょっと、ほんのちょっとですから」

『..................ちょっとだからね』

「さすがー！」

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結局私のハンバーグは半分以上取れた。

でも嬉しそうな顔をして食べてる誠也くんの顔が可愛くて
怒ることができなかった。

『誠也くんって夜ご飯どうしてるの？」

「んー弁当とかカップ麺とか」

『それじゃあ身体に悪いよ？ちゃんと自炊しないと』

「うーん...ですかね」

『............作ってくれる彼女とか...いないの？』

「いませんよ」

誠也くんは定食を食べ終え箸を置き
そのまま不貞腐れたように頬杖をついた。

『じゃあ私が作りに行こうか？』

「え」

『.........ごめん、じょうだ「まじっすか！」

『え』

「来て欲しいです！先輩の手料理食べたいです！」

『え、あ、うーうん』

誠也くんはまるで機嫌の良い犬のように
しっぽをブンブンとふってるように見えた。

その姿を見てしまったら冗談でした...なんて言えない。

本当にいいのかな...なんて心配に思う反面
誠也くんの家に行けることが嬉しくて少しワクワクしていた。