もしあなたが【短編】 (ページ24)

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Sh#5 ページ24

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ピンポーン

家のインタホーンが鳴ったのでモニターを確認すると
いつものお兄さんが荷物を持って立っていた。

慌てて鏡の前に立ち、身なりを整える。

何度も自分の姿を確認してから玄関に向かい
扉の前で彼に声をかける。

『はい』

「宅配便です！お荷物をお届けにきました！」

『ありがとうございます』

扉を開けて彼を迎える。

いつものように爽やかな笑顔を私に向けてくれた。

「Aさん、こんにちは！」

『こ、こんにちは...いつもありがとうございます』

「はい、じゃあこれにサインお願いします」

『分かりました』

「寒くなってきましたねー！」

『松田さんも寒さ感じるんですね』

「えーどういうことですかー」

『だっていつも熱そうだから(笑)』

「んーそれは否定できません(笑)」

玄関先で笑い合う
私にとって最近の楽しみな時間

『あ、ちょっと待っててください』

「はい」

用意してあった缶珈琲とお菓子を掴んで玄関に戻る。
それを松田さんに渡す。

『よかったら』

「いつもすいません」

『いえいえ』

「じゃあ、ありがとうございました！」

『ありがとうございました』

帽子を取り頭を下げる松田さんに私も頭を下げる。
そのまま玄関の扉が閉まる。

まだ心臓はドキドキしてる。

宅配便のお兄さんに恋をしてもうすぐ半年。

松田さんの笑顔にすぐ心を奪われた。

だから最近通販で買い物をしてしまうようになった。

薬局行けば買えるシャンプーやトイレットペーパーなど
日用品をネットで１ヶ月定期便に指定し予約をしてるから
毎月日用品が宅配便で届くようになっている。

月に１回、松田さんに会いたい為に

きっとこの恋は前に進むことはないだろうけど
今は松田さんの笑顔が見れるだけで私は幸せ。