もしあなたが【短編】 (ページ22)

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L#8 ページ22

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予約の時間１０分過ぎてしまった。

慌ててガラス張りになっているお洒落なお店に駆け込む。

私が勢いよく入店したせいで受付にいた店長さんが
ビックリした表情をしながら迎えてくれた。

『遅くなりました、１０時に予約したAです！』

「A様ですね、お待ちしておりました」

店長さんは受付のカウンターから出てきて
コートと鞄を私から受け取り棚にしまう。

そして私を椅子に案内してくれた。

『遅くなってすいません』

「大丈夫ですよ、こちらにどうぞ」

『ありがとうございます』

「担当呼んできますね」

『はい』

椅子に座り大きな鏡と向き合う。

走ってきたせいで髪の毛はボサボサになっていた。
ボサボサの頭を慌てて手で直す。

「大丈夫ですか？(笑)」

『あ、こんにちは』

「こんにちは」

鏡越しに背の高い細身のイケメンと目が合う。

私の担当の金子さん。

幸せなことに私はいつもこの人に髪を切ってもらっている。

『頭がボサボサだったので(笑)』

「慌てて入店されたらしいですね(笑)店長驚いてましたよ」

『...すいません』

「Aさんが遅れるなんて珍しい」

『寝坊しちゃいました』

「夜更かしですか？(笑)」

『昨晩飲みすぎちゃって』

「あーそれは寝坊しちゃいますね」

『ですよね！』

金子さんは話してる間ずっと私の頭を撫でてくれる。
髪の毛を触ってくれているだけなんだけど、それだけで幸せ

「今日はいつも通りでいいですか？」

『はい、お願いします』

「分かりました。じゃあまず髪洗いましょう」

『はい』

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「へぇーじゃあお酒はあんまり強くないんだ」

『好きなんですけどねー』

「Aさんって真顔で日本酒飲んでそう(笑)」

『えーそのイメージ酷くないですか(笑)』

「すいません(笑)」

『金子さんは強いんですか？』

「んー俺も好きだけどあんまりかな」

『ドヤ顔でワイングラス揺らしてそう(笑)』

「俺のイメージも酷ない？(笑)」

『すいません(笑)』

金子さんは私から離れて鏡を持ってくる。

後頭部が見えるように鏡を向けて出来上がりを見せてきた。