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また廊下に張り出された売上表を眺める。
「Aさん」
『松本くん、すごいね』
「.....................」
『先月すごく頑張ったもんね』
「............でもダメでした」
『ダメじゃないよ』
「西川さんを超えられませんでした」
『松本くん』
「でも......スッキリしました！」
『え？』
「１ヶ月努力したけど西川さんには勝てませんでした」
『でも松本くんは充分「仕事もプライベートも」
『..................』
「Aさんは西川さんのこと好きなんですよね？」
『..................』
「売上１位になったら僕のこと振り向いてくれるかなって
思ったんですけどね...ダメでした(笑)」
『.........頑張ってくれてありがとう』
「Aさん」
『私なんかの為に頑張ってくれてありがとう！嬉しかったよ』
「.........はい」
『でもごめんね、私は西川くんのことが好きだから』
「.........はい」
『気持ちに応えることはできないけど、本当に嬉しかったよ』
「.........友達としてこれからも...仲良くしてくれますか？」
『うん、もちろん』
「......ありがとうございます！」
松本くんはぎこちない笑顔を私に向けて
そのまま廊下を歩き出した。
沈んだ背中に声をかける前に誰かに後ろから抱きしめられる。
誰かなんてすぐに分かる。
『遥輝』
「ん？」
『見てたの？』
「うん」
『１位おめでとう』
「ご褒美くれる？」
『なにそれ(笑)』
私のお腹に回された遥輝の腕を緩めてゆっくり振り返る。
「久しぶりに本気出した」
『お疲れ様』
「Aに会うの我慢して１ヶ月頑張ったんやけど」
『うん』
「だからAからご褒美が」
ご褒美が欲しいと遥輝が言う前に私は彼に口付けをした。
軽くしてすぐに離す。
遥輝は驚いた表情をしたまま固まっている。
『いきなりしてごめん...嫌だった？』
「アホ」
『ご褒美です(笑)』
「もーなんやねん！可愛すぎんねんけど」
そう言って顔を近づけてきたから手で阻止する。
『ここ会社だからダメ』
「今Aからしたやん」
『遥輝は１回したらなかなか離してくれないからダメ』
「仕方ないやん、Aのこと好きなんやもん」
『...............会社以外なら』
「よし、今日も定時で帰るぞ」
『ふふふっ(笑)はいはい』
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作者名：おれんじ | 作成日時：2019年1月1日 18時
