もしあなたが【短編】 (ページ3)

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「A、これやる」

『え？』

「冷え性やろ？昨日見つけてん」

西川くんは可愛らしい柄のひざ掛けを渡してきた。

戸惑う私に彼はひざ掛けを広げて直接私の膝に掛けてきた。

『あの...ちょっと』

「あとこれ」

ポケットからホッカイロを出して私の手に握られせる。

王子様のようなキラキラな笑顔を私に向けてくる。

「これで寒ないやろ？」

『あ、うん...ありがとう』

「仕事は？残ってるなら手伝う」

『だ、大丈夫』

「ほんまに？無理してない？」

『し、してないから...大丈夫』

遠慮しない

その言葉を私に向けた日から彼は本当に遠慮しなくなった。

ビックリするほど優しい。

何かにつけて私に気をつかってくれる

「西川くん、私にもホッカイロ欲しいなー」

「私もーひざ掛け欲しいなー」

「すいません、Aの分しか用意してないんで」

さきほどの様子を見ていた
事務のお姉さん達が私たちに集まってきた。

「いいなーAさんだけ」

「同期ってだけで羨ましい」

チクチクと私に向かって嫌味を言う彼女達を無視して
仕事を再開する。彼のおかげで身体も心も暖かく
仕事は普段よりも順調に進んだ。

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「A、最近ミスしなくなったな」

『......そうですかね』

「残業なく帰ってるみたいだし調子いいな」

『はい』

それは西川くんのおかげ

西川くんは私がしたミスに対して
優しく指導してくれるから同じミスも繰り返さなくなった。

仕事の順番などもアドバイスをしてくれたから
無駄に残業することもなくなり前より要領がよくなってる。

「西川のおかげか」

『え』

「西川みたいな同期がいてよかったな」

『ええ...そうで「Aが頑張ってるんですよ」

『西川くん』

「俺はなにもしてないですよ、Aが頑張ってるんです」

「でも西川が手伝ってるんだろ？」

「最近はしてないですよ」

でも...それは西川くんが教えてくれたから

「俺はもっと手伝いたいんですけどね(笑)」

『え』

「西川？」

「その分Aと一緒にいられるじゃないですか」

私と上司にまたキラキラな笑顔を向けながら
とんでもないことを言ってきた。

私と上司は開いた口が塞がらないまま彼を見つめる。

「ん？俺なんか変なこと言いました？」

天然なのか狙ってるのか彼がよく分からなくなってきた。