もしあなたが【短編】 (ページ11)

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「送ろうか？」

『ここで大丈夫です』

「そっか、じゃあ気をつけて」

『はい』

背を向けて別々の方向に歩き出す。

振り返り彼の背中を見る。
明日また会社で会えるのにもう寂しくなってしまったから

今すぐにその背中に抱きつきたい気持ちを堪えて
また背を向け歩きだし自宅に向かう。

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『ただいま』

「おかえりー遅かったな」

『うん...仕事でミスしちゃって』

「そっか、お疲れ様」

旦那さんは心配そうな顔をして私の頭を撫でてきた。
彼の優しさに胸が痛む。

『疲れてるからもう寝るね』

「うん」

優しい旦那さんに背を向けて寝室に入る。

ごめんなさい...心の中で彼に向けて謝罪する。

旦那が嫌いなわけじゃない、好きだけど
直属の上司である嶋さんのことも好きになってしまった。

嶋さんにも家族がいる。
だからそろそろちゃんとしなきゃいけない。

過ちを続けても誰も幸せにならない。

だから嶋さんとの関係は明日で終わらせる。

私はそっと薬指の指輪を撫でながら決心した。