隣にいてもいいですか【2】 (ページ37)

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F#12 ページ37

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『あっ』

夕食後、食器を洗っていると洗剤で手が滑りつい
陶器のお茶碗をシンクに落として割ってしまった。

『あーやっちゃった』

「どうした？」

『ごめん、お茶碗を...痛っ』

お茶碗を拾おうとして破片が手に刺さってしまった。

「大丈夫？」

『うん...大丈夫』

「ちょっと貸して」

剛は血が流れる私の指を持ちそのまま口の中に入れた。

『え』

「ん？」

『剛？汚いから離して』

「んー」

『ちょっと』

私の忠告を聞かずに剛は真顔で私の指をくわえたまま
だんだんとこの状況に恥ずかしくなってくる。

『剛...もう大丈夫だから』

「ん」

『そろそろ恥ずかしいんですけど』

「ふふふっ(笑)」

『痛い痛い...歯が当たってる！』

「あ、ごめん」

剛は慌てて口から指を離す。
手を持ったまま蛇口から水を出し私の手を洗ってくれた。

「食器は俺が片付けるからAは絆創膏貼りな」

『うん、ありがとう』

何事も無かったように割れた食器を片付ける剛に
少し男気を感じてドキッとしてしまった。

いつもヘタレなのに

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消毒し絆創膏を貼ってキッチンに戻る。

『ごめんね、大丈夫？』

「大丈夫、ついでに食器も洗っておいたからね」

『ありがとう』

「うん」

『え、なんで顔赤いの？』

「え？そうかな？」

洗い終えた食器を拭く剛は何故か顔が赤い。

私は剛の隣に並び食器を拭く。

『本当に大丈夫？顔真っ赤だよ？』

「いやーちょっと」

『ん？』

「さっきのこと思い出して...」

『え、今更恥ずかしくなってるの？』

「............うん」

今更すぎない？
指を口に入れてきた時は何ともない顔してたのに

『ふふふっ(笑)』

「笑うなって」

『剛は可愛いね(笑)』

「A～」

『ごめん(笑)』

笑う私を彼は横から脇腹を肘で軽く突く

「A、俺の茶碗割ったでしょ」

『あ、ごめんなさい』

「だめ、許さない」

『えー新しいの買うから』

「だめ、お仕置き」

『お仕置き？』

「また......指舐めさせて......」

『............剛』

また真っ赤な顔をして食器を拭く

しまった...剛の中にある変な扉を開けてしまった。

でもそこまで嫌じゃない自分に驚く。