隣にいてもいいですか【2】 (ページ35)

今日:9 hit、昨日:11 hit、合計:214,210 hit

De#21 ページ35

.

「Aさん！」

『あ、お疲れ様』

「これ...」

相変わらず柴犬のような顔をしている今永くんは
私にぬいぐるみを差し出してきた。

『またUFOキャッチャーで取ったの？』

「はい...もらってくれますか？」

今永くんはゲームセンターのUFOキャッチャーをするのが好き。
景品が欲しいわけじゃなくやるのが好きなので
取った景品はよくみんなに配っている。

私はぬいぐるみをよくもらっている。

今日差し出されたぬいぐるみは口がムッとした
大きめの黒い柴犬だった。

『この子、今永くんそっくりだね(笑)』

「そうですか？」

『口がムッとしてる』

「え、俺ムッとしてます？」

『してるよーそれに柴犬...似てる(笑)』

「よく分からないですけど気に入ってもらえてよかったです」

『うん、気に入った！今永くんありがとう』

もらった柴犬のぬいぐるみを抱き締める。
モフモフして気持ちがいい。
それをじっと見てくる今永くん

『ん？』

「俺も......いえ......なんでもないです」

『今永くん？』

「今度一緒に行きませんか？」

『ゲームセンター？』

「はい」

『うん、行きたい！』

「じゃあ...今日行きませんか？」

『試合後？』

「はい、明日休みですし」

『そうだね...行こっか』

今永くんはムッとしていた顔からクシャッと笑顔になる。
えくぼができて可愛い。

「あ、これ」

『まだやるのー？』

今永くんは景品が入った袋を両手に持っている。
袋にはお菓子やぬいぐるみなど２人で取った戦利品が入っている

私はもう充分なのに今永くんはまだやりたがる。

「最後ですから」

『本当に最後だからね』

「はい」

今永くんがやり始めたUFOキャッチャーの景品は
大きめの白い猫のぬいぐるみ

『ねこ...可愛い』

「すぐ取ります」

しかし今永くんの宣言通りにはいかなかった。

猫はなかなか素直にクレーンに捕まってくれない。
捕まってもすぐに落ちてしまう。

何回目かにちょっと取りにくい場所に落ちてしまったので
店員さんを呼んで場所を直してもらう。

「この子でよかったですか？白以外にも茶色の子もいますよ？」

『今永くん、変えてもらう？』

「Aさんは白色と茶色どっちが好きですか？」

『私は白色かな』

「じゃあ白色のままでお願いします」

「分かりましたー」

店員さんは少し近めに置いてくれた。