隣にいてもいいですか【2】 (ページ22)

今日:23 hit、昨日:11 hit、合計:214,224 hit

Sh#16 ページ22

.

今日は都内で大学の学科の同窓会

旧友と久しぶりの再会で各々がお酒を片手に盛り上がる。

盛り上がる中、遠くの席に座っている東浜くんを私は盗み見る。

プロ野球選手の東浜くん
彼の周りには女性がたくさん集まっていた。

学生の頃、彼は勉強と野球を両立していた。
そして両方とも成功させた。
社会科の教員免許を取得し、ドラフト１位指名

文武両道な上にあのルックス
女性がほっとくわけがない。

そして私もほっとかなかったうちの１人。
大学の頃からずっと片想いをしている。

私も彼と同じく教員を目指していたので
会話する機会が多く自然と友達になっていた。

友達関係は卒業するまで続いた。

でも卒業後は連絡を取り合うこともなく
もちろん会うこともなかった。

何度もこちらから連絡を取ろうとした。
初登板おめでとうとか、初勝利おめでとうとか
福岡まで試合見に行ったよとか
ここ数年彼に伝えたいことは沢山あった。
でも勇気が出ずに結局伝えてない。

今もまた勇気が出ずに話しかけるどころか
近くに行くこともできないでいる。

ただ遠くで盗み見るだけ

「A二次会行く？カラオケらしいよ」

『あー私はいいや』

「そっかー残念」

同窓会はお開きとなりお店からみんな出る。

私は二次会組と離れて駅に向か為に歩き出した。

すると後ろから名前を呼ばれる。

「Aさん」

『............東浜くん？』

「帰るの？」

『う、うん』

「一緒に帰ってもいいかな？」

『え』

「電車で帰るんだよね？
俺今日駅前のホテルに泊まる予定だから...」

『あ、そっか...東浜くん福岡だもんね』

「さすがに今から福岡帰るのはしんどい」

笑った顔は昔と変わらなくて少し安心した。

「だから駅まで一緒に帰ってもいいかな？」

『うん...帰ろうか』

「ありがとう」

横に並んで一緒に歩き出す。ただそれだけなのに
私は心臓がとび出そうになるくらい緊張している。

「Aさんって今も小学校の先生？」

『今年から中学校だよ』

「中学校の先生かー...羨ましい」

『あれ？東浜くんって中学校希望だった？』

「あ、違う違う。生徒さんが羨ましいなって」

『えっーと...それは...』

「Aさんみたいな綺麗な先生に教えてもらえる
生徒さんが羨ましいって思った」

「俺もAさんに教えてもらいたい」

『..................』

東浜くんの言葉に驚きすぎて言葉を失った。