隣にいてもいいですか【2】 (ページ13)

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Sh#51 ページ13

『ばやし君』

「あ、お疲れ様です」

『そろそろ施錠の時間だよー』

「すいません、今片付けます」

試合が終わった後も遅くまで自主練してる上林くんに声を掛ける

調子がいい時こそたくさん練習したくなるよね。

でもちょっと頑張りすぎじゃないかな？

片付けを手伝いながら彼にそう伝えようと目を向ける
すると何故か彼は私の方を見ていて目が合った。

『なに？』

「あ...なんでもないっす」

『なんだよー(笑)』

「いや...なんか」

『ん？』

「Aさん最近辛そうな顔してるんで」

『.........え？気のせいだよー(笑)』

年下の男の子に見透かされ少し動揺した。
無意識に顔に出てたなんて...全然気付かなかった。

「なにかありましたか？俺でよければ話聞きますよ」

『ありがとう。大丈夫だよ』

「..................」

切れ目の彼にじっと見つめられる。
上林くんには何もかも見透かさてるような気がした。

これ以上誤魔化しても彼の前では誤魔化しきれないだろう
それに真面目な彼なら私の話を誰かに漏らすこともないはず。

そう判断し、私は正直に話した。

『実はね、彼氏が浮気してたの』

「え、最低っすね」

『別れたんだけどね。
でも最近彼からより戻さないかーって連絡来たんだ』

「まさか許したんですか」

『悩み中』

「なんで...また浮気されますよ」

『分かってるんだけどさー惚れた弱み？』

「そんな奴と居てもAさんは幸せになれません」

『でもまだ彼のこと...好きだし』

「そんなの俺が忘れさせてあげます」

『え？』

「俺ならAさんのこと幸せにできます」

『上林くん...一旦落ち着いて』

「落ち着いてます。
俺なら絶対そんな辛い顔させません」

『いや...でも...あの』

突然の告白に動揺が隠せない。
上林くんはそんな素振り一切見せなかったし
まぁ普段から感情をあまり表に出さない子だけど

戸惑う私の前に彼が立つ。

「Aさんのこと絶対幸せにできます」

そう言って私の背中に手を回し抱き締めてきた。
彼の心臓の音が間近で聞こえる。

「だから俺にしろよ」

彼に心臓の音が聞こえてしまうんじゃないかと不安なくらい
私の心臓は大きく早くなっている。

突然のことに驚いてるからなのか
それとも上林くんのことを特別に想ってしまったからなのか

その疑問にはきっと彼が答えてくれるだろう。

新しい恋が生まれるまであと数秒...