続き3 ページ46
「おーい!Aちゃん!」
『えッ!』
聞き覚えのあるあの声。
後ろを振り返ると、ぶんぶんと手を振りながらこちらへ駆けてくるゴーグルがいた。
『(…チャンスかも!)……ゴーグル君…(泣)』
咄嗟に涙声を出し、彼にすり寄る。
「わわっ!…泣いてるのー?なんでー?」
ぽすっと私を受け止めた彼は、不思議そうに言った。
『…クスン…クスン…わ、私…。』
失恋しちゃった…、
オーソドックスな私の手口。
鈍感なコも、傷心したガールの恋愛話に付き合っていれば、その気になることも少なくない。
きっと彼もそうだと思った。
『それで…私…私…。』
「そっかー…悲しい?…あ!おれがよしよししてあげるー!」
『は…?』
ギュュュウウ…
『…っ!?』
「よしよーし!痛いの痛いの飛んでいけー…じゃないか!悲しいの飛んでいけー!!」
赤子をあやすように、抱きしめられ、背中をとんとんと摩られる。
…あったかい。
他のボーイとシてるときの、ドロドロした抱擁よりずっと……。
心の奥の冷たい芯が、じわじわと暖められていくような感覚。
「だいじょーぶ、だいじょーぶ…!」さすさす…
『…ぇ…///』
「何か悲しいことがあったら、こーやってやってもらえば治…って!Aちゃんもっと泣いてる!?」
『…は…?』
頬に手をやると、たくさん涙が流れたのか、私の頬をびしょびしょに濡れていた。
…なんで…?
「お、おれなんかやっちゃった?!ねぇ、ねぇ!ごめんね!ごめんね!」
『……。』
あわあわと困る彼の声も、聞こえないほど自分で自分の様子に驚いた。
…そして、気づいたんだ。
…私が、たくさんのボーイと遊んできたのって…
『(…もしかして…。)』
不穏な欲も、下心も、一切ないような
まっすぐな愛が
本当は欲しかったんだって…。
自分の本当の気持ちに気づいた。
「…ねぇってばー!」
『……ふふふ。』
笑みがこぼれた。
「何笑ってるのー?あ、でも元気になってくれてよかった!」
『ふふ、ふふふふ…!…あぁー…馬鹿みたい。』
「?」
『…ゴーグル君ってほんとすごいや…。』
「???」
意味が分からずきょとんとする彼を見ながら、私は優しく微笑んんだ。
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あんもロイド#エンペラー推し - うぉうほぉ!!最高だぜえええええええええ!! (1月17日 11時) (レス) @page21 id: 2591457723 (このIDを非表示/違反報告)
いなり(プロフ) - こむさん» コメントありがとうございます〜!スプラ3と小説の今後については日記で書いてあるので、そちらならコメ欄で自由に分かち合って結構ですよ!笑(*´ω`*)私もめっちゃ嬉しいです! (2021年2月18日 19時) (レス) id: 44292e34f7 (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - スプラトゥーン3が出たんですって?!やばくないですか?!この思いを分かち合いたいんですけど迷惑だったらごめんなさい!小説も大好きです!ありがとうございました! (2021年2月18日 19時) (レス) id: 1f65b2d6f9 (このIDを非表示/違反報告)
餡子溜り(プロフ) - こむさん» できてるよー (2021年2月1日 20時) (レス) id: 54ff2b9586 (このIDを非表示/違反報告)
こむ(プロフ) - 餡子溜りさん» ありがとうございます…レスって出来てますかね?なにせ、始めたばかりなもので… (2021年2月1日 20時) (レス) id: 1f65b2d6f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いなり | 作成日時:2019年10月27日 18時