【コロイカ】短編夢まとめ

心中するだけ　続き ページ2

…しばらくして、ついたのはずいぶん前に閉鎖された工場地帯の跡地。

もちろん、イカはおろかクラゲ一匹すらいない。寂しくて、暗い場所。

その近くに湖もあった。

決して綺麗だとは言えない、今の私の心のように淀んだ汚い湖。


私とライダーは湖のふちに設けられたさびたパイプの柵に腰をかけた。


ﾗｲﾀﾞｰ「……いいのかよ、ホントに。」

湖を覗き込みながら彼がぽそっと言った。


『…いいよ…もう疲れちゃった…。』


バトルも…友達も…将来も…何もかも。


消えてなくなってしまえばいいのに。



ﾗｲﾀﾞｰ「…ひどい面してんな。…目も死んでる。」

私の顎を持ち、ライダーはそう言った。

そして、お前らしくないな、とも言った。


『…別にライダーは死ななくてもいいよ。』

私は表情一つ変えず、その手を払った。


その瞬間、ライダーにぎゅうっと抱きしめられる。


ﾗｲﾀﾞｰ「………バカかお前…勝手に置いていくんじゃねぇよ。」


…少しだけ、涙が出た。


『……ライダー…。…ね、キスして。』


これが最後だから、と。


普段、こんなお願いをしても彼は恥ずかしがってしてくれない。
寝るときに、ちょっとしてくれるぐらい。


でも、今日は快くしてくれた。





……



カサついた唇、とても恋人同士の甘いキスじゃない、悲しいキス。



ﾍﾟﾛﾘと唇を舐めたかと思えば、口内に舌が入ってくる。


『……ん……ぁ……ふぅ…///』


ﾗｲﾀﾞｰ「……っ………」


大人とキス、ってやつ。

苦しいけど、あったかくて気持ちいい…。


キスしながらさらに強く抱きしめられる。


ぷはっ…


息が続かなくなって、口を離してしまう。


離してもなお感じられる彼のぬくもりが気持ちいい。



彼の背中に手を回して、耳元で



『……大好き。』


とささやく。



するとライダーもまた


ﾗｲﾀﾞｰ「…ああ…俺も。……好きだ。」


と言った。




…しばらく見つめあったあと、私たちは抱き合ったまま、湖に身を投げ入れた。



…意識がなくなる前、最後に覚えていたのは私の水色とライダーの黄緑が湖に溶けていく景色。

二つが重なり合って、月に照らされて、とってもきれいだった。



ﾗｲﾀﾞｰ(……綺麗だ。)
『(……綺麗…)』






翌日



「続いてのニュースです。昨日未明、2色のインクが○○工場地帯付近の湖から見つかり、警察に通報が入りました。インクは男女のものと思われており、警察は心中をはかったとして捜査を……」

溺れる（ライダー）　※微ｴﾛ注意→←心中するだけ（ライダー）

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