続き ページ41
「…って思ってたんだけどなあ…。」
どの世界線に行きついても変わらない星空を見上げながら、私はまた嫌な記憶を思い出してしまった。
(この世界もハズレ、かな。)
結論から言うと、彼のあの不吉な発言は現実になった。
ある日を境にぷつりと私の前に現れなくなった彼に何があったのかは今でもわからない。
でも…
「サヨナラぐらい言ってよ。」
ぐしぐしと涙を拭く。
それから私は乏しい頭と残されたこちらの世界のカメラちゃんの力を使っていくつもの世界線を旅した。
ブラックの言った通り、人類が滅亡した世界線、私が別の場所に引っ越している世界線、数え切れないぐらいたくさんの世界線がこの世にはあった。
今思えば、私が元いた世界は「ブラックがいなくなってしまう世界線」だったのかもしれない。
「でも、そんなの納得できないよ。」
「ジー…。」
私の肩に乗ったカメラちゃんが悲しそうな声をあげる。
この二人ぼっちの時空旅行の目的は一つ。
「別の世界線のブラックを元の世界線に連れて帰ること」
でも、不思議なことにどの世界線を探してもブラックの存在は見当たらなかった。
ブラックチャンネルすら存在しない、おぞましい世界。
けれど、希望は捨てていなかった。
だって、姿を消す前に彼は言ったのだ。
「別の世界のオレちゃんもいる」と。
ブラックは意地悪だが嘘はつかない、と信じている。
だから、何度も何度も幾万とある世界を旅した。
「この世界線もダメみたいだね。行こう、カメラちゃん。」
「ジー!ジー!」
落とした肩を戻し、気を取り直して次の世界へ移ろうとする私の前で突然カメラちゃんが暴れ始めた。
「
な、何?どうした、の。」
息が止まるかと思った。
カメラちゃんの視線の先には、探し求めた彼がいた。
「肝試しマジで怖かった…。もう二度としたくないよ。」
「カーカッカッカ!さとしくんは相変わらずビビリですねぇ!」
懐かしいあの笑い声、黒い服、黒い髪。
見間違えるわけがなかった。
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イエイ - ぎゃああああああああああああ!!??いい作品すぎるー!?続きが待ちきれないぜ☆←落ち着け (9月12日 21時) (レス) @page43 id: 3b9832ac3e (このIDを非表示/違反報告)
おむすび - 個人的に余裕全開の先輩ブラックがうぶな後輩夢魔主を抱く(?)話しが好きです。(いいぞブラックもっとやれ) (2023年4月2日 7時) (レス) id: ef589f12bf (このIDを非表示/違反報告)
いなり(プロフ) - かりりんさん» コメントありがとうございます♪ぜひぜひ、気長にお待ちください (2022年6月20日 13時) (レス) id: 44292e34f7 (このIDを非表示/違反報告)
かりりん - 続き楽しみです❗️ (2022年6月17日 18時) (レス) id: 2cbb035564 (このIDを非表示/違反報告)
かりりん - こうゆう作品探してました。 (2022年6月16日 22時) (レス) @page38 id: 2cbb035564 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いなり | 作者ホームページ:Twitter → @inary_2055
作成日時:2020年12月25日 22時