続き2 ページ38
日も沈み、暗くなってきた頃、補習は終わりを告げる。
補習が終わると、ブラック先生はいつも参考書をパタン…と閉じて、「気をつけて帰ってくださいね。」と言って、すぐに教室を出て行ってしまう。
その後ろ姿を見ると「あぁ、もう二人の時間が終わりなんだな…。」と寂しい気持ちになるのだ。
幸せな時間の余韻に浸りながら、でも少し寂しい気分で一人おうちに帰って、でもまた次の日には”今日もブラック先生に会えるから”とわくわくしならがら学校へ向かうのだ。
毎日毎日、同じことの繰り返し。
些細なことで一喜一憂して、結局前に進めないどこにでもありそうな恋。
しかし、今日だけは何かが違った。
"私"の背中を、"私"が押した。
「それじゃあ、今日の補習は終わりです!…気をつけて帰ってくだ、」
「ブラック、先生…!」
いつものように荷物を持ってさっさと教室出て行こうとするブラック先生の服の袖を、弱い力できゅっと引っ張って。
「…?どうかしました?オレちゃんに何か、」
「…っ、ブラック先生…もう少し。もう少しだけ…一緒に、いてください…。」
途切れ途切れに、精一杯の言葉で私は言った。
「私…ブラック先生のこと、知らないんです。何も知らないんです…だから…。」
「オレちゃんのこと?」
「はい。べ、勉強も知りたいっけど…、ブラック先生のことも、たくさん…知りたいんです。」
先生の好きなこと、好きな食べものに好きなTV番組、休みの日には何してるか、恋人はいるか、いないならどんな女性が好みなのか、そして私はブラック先生の”特別”になれるか。
たくさん、全部、知りたいの。
「ダメ…ですか…?」
震える声で、ゆっくりと顔を上げて、彼の顔を見る。
すると、彼は「おやおや…。」と困ったように笑い、私に目線を合わせるように屈んで耳元で囁いた。
「イケナイ子ですねぇ…。先生のオレちゃんを誘惑するなんて。」
「ブラック、せんせっ…。」
大好きなブラック先生の甘くて低い声が、私の胸を締め付ける。
「良いですよ…。今からオレちゃんと”特別授業”しちゃいましょう…。もちろん、これはAさんとオレちゃんだけのヒ・ミ・ツです♡」
「と、特別…?」
「はい。これからは”特別授業”でた〜っぷり、オレちゃんのこと教えてあげますので。」
放課後は二人だけの時間です。
ブラック先生はそう言って妖艶に笑った。
これは、私が初恋の悪魔教師とイケナイ関係になっちゃった話。
END
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イエイ - ぎゃああああああああああああ!!??いい作品すぎるー!?続きが待ちきれないぜ☆←落ち着け (9月12日 21時) (レス) @page43 id: 3b9832ac3e (このIDを非表示/違反報告)
おむすび - 個人的に余裕全開の先輩ブラックがうぶな後輩夢魔主を抱く(?)話しが好きです。(いいぞブラックもっとやれ) (2023年4月2日 7時) (レス) id: ef589f12bf (このIDを非表示/違反報告)
いなり(プロフ) - かりりんさん» コメントありがとうございます♪ぜひぜひ、気長にお待ちください (2022年6月20日 13時) (レス) id: 44292e34f7 (このIDを非表示/違反報告)
かりりん - 続き楽しみです❗️ (2022年6月17日 18時) (レス) id: 2cbb035564 (このIDを非表示/違反報告)
かりりん - こうゆう作品探してました。 (2022年6月16日 22時) (レス) @page38 id: 2cbb035564 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いなり | 作者ホームページ:Twitter → @inary_2055
作成日時:2020年12月25日 22時