続き ページ34
「男を騙して金を奪い取った娼婦、政治家に賄賂を渡す町の役人。子供に暴力を振るう酒癖の悪い父親…。」
「……。」
「これって、本当に”罪なき人々”なんですかねぇ…？」
「……。」
何も言い返せなかった。
事実、殺されたのは死んでも構わないような人間の屑ばかり。
大方、この悪魔と汚い契約でも交わしてその代償を頂かれただけだろう、
生きているだけで、反吐が出そうなほど罪深い…嗚呼、穢らわしい。
すると、悪魔は黙り込んでいる私を見て、そっと耳打ちをした。
「カカカ…おかしいですよねぇ…こーんなに罪深い人間風情がたーくさん生きてるなんて。」
耳に当たる吐息は温かいのに、声や肌からは全く生気を感じない。
正真正銘の悪魔のささやき。
「オレちゃんと契約して、変えちゃいません？この世界を。」
「…せ、世界を…？」
「ええ、シスターさんとオレちゃんが組めば鬼ヤバ最強です…♪罪のない善人だけの世界、見たいでしょう？」
「…見たい。…そうよ、こんな世界間違ってる。」
私がぽつりと漏らすと、悪魔はくすっと笑って厚い紙の束を取り出した。
「カカカ、中々話のわかるシスターさんでオレちゃんも嬉しいです！…さぁ、では契約書に…サインを。」
「……。」
手渡された真っ黒なペンの先を、震える手で紙につける。
滲み出た黒いインクがじんわりと広がり、契約書と書かれた表紙を汚していった。
「ああ、自己紹介がまだでした！…オレちゃんはブラック、悪魔です。」
「これからよろしくお願いしますね、シスターちゃん…♪」
契約書に置かれた視界の端で、ブラックが笑う。
「ええ、こちらこそ…。」
私は止まっていたペン先をやっとのことで動かして、達筆な字で自分の名前を記した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 127人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
イエイ - ぎゃああああああああああああ！！？？いい作品すぎるー!?続きが待ちきれないぜ☆←落ち着け (9月12日 21時) (
レス) @page43 id: 3b9832ac3e (このIDを非表示/違反報告)
おむすび - 個人的に余裕全開の先輩ブラックがうぶな後輩夢魔主を抱く(？)話しが好きです。(いいぞブラックもっとやれ) (2023年4月2日 7時) (レス) id: ef589f12bf (このIDを非表示/違反報告)
いなり(プロフ) - かりりんさん» コメントありがとうございます♪ぜひぜひ、気長にお待ちください (2022年6月20日 13時) (レス) id: 44292e34f7 (このIDを非表示/違反報告)
かりりん - 続き楽しみです❗️ (2022年6月17日 18時) (レス) id: 2cbb035564 (このIDを非表示/違反報告)
かりりん - こうゆう作品探してました。 (2022年6月16日 22時) (レス) @page38 id: 2cbb035564 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：いなり | 作者ホームページ：Twitter → @inary_2055
作成日時：2020年12月25日 22時
