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◆花(切ない系・死ネタ…?) ページ25

※死ネタ? 悪魔に関して若干捏造設定アリ
 ぼやっとした表現の切ない雰囲気の話。



「オレちゃん、花は嫌いです。」

「え?…どうして?」


ブラックは窓際の花瓶に挿してある白いデイジーを見つめながら、ポツリと言った。

彼が花とかそういう、人間から見て美しいものに感想を言うことは珍しい。
私は純粋に彼がそう思う理由が気になった。



「うーん、なんていうか…嫌いなんです。イラっときません?」

「花が?…何それ。」



思わぬ回答に私は失笑する。
ブラックは以前、人間と悪魔の感覚は違うと言っていたが、なるほどここまで違うのか。



「オレちゃんにも分かりませんよ。それに魔界には花なんて咲いていませんし。」

「ふーん…?」

「この花びらだって、あと1週間もすれば全部落ちてしまうんでしょう…?…なんかイラっときません?」

「……それって、枯れちゃうのが寂しいってこと?」

「……そうかもしれません。」




彼はすらりとのびた指でちょんちょんと花を揺らしながら、おかしな文句を言った。
何となく、彼が言いたいことが分かった気もした。




「でもさ、枯れちゃうから今の美しさが価値あるものになるんじゃない?」

「…そういうものなんですか?」

「悪魔にゃ分からないかぁ〜。」

残念、と言いながら、私は花瓶の中に水を足した。



悪魔は死なない。

花のように枯れることも、人間のように老いることもない。

彼らはまさに永遠の存在。


だからこそ、こういう命の儚さとか脆さに関しては、人間と同じような感覚は理解しがたいのだろう。




「でも永遠に変わらなければその価値、ずっと続きません?」

「そ、そう言うんじゃなくて…。」

「……。」





何かと屁理屈を言いながらも、ブラックは花を見つめることをやめない。

そよ風に揺れる葉を目で追う様子は、さながら仔犬のようで少し可愛い。



「……花も、人間も、すぐ死んでしまいますね。」

「え?」

「せっかく美しいのに、すぐ死んでしまうなんてもったいないです。」

「はは、そうかもね。」



そう思うならば、お得意の契約で花が枯れないようにすればいいのに…。

そうしないのは、悪魔の力が人間の”欲”をエネルギーとしないと発動できないだからだろうか?

それとも、彼なりに人間の感性を理解しようとしている証拠だろうか?



(…いや、ブラックに限ってそんなことはないかー。)

「……人間なんてやめて、オレちゃんと悪魔になっちゃいません?」

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設定タグ:ブラックチャンネル , plott , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
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イエイ - ぎゃああああああああああああ!!??いい作品すぎるー!?続きが待ちきれないぜ☆←落ち着け (9月12日 21時) (レス) @page43 id: 3b9832ac3e (このIDを非表示/違反報告)
おむすび - 個人的に余裕全開の先輩ブラックがうぶな後輩夢魔主を抱く(?)話しが好きです。(いいぞブラックもっとやれ) (2023年4月2日 7時) (レス) id: ef589f12bf (このIDを非表示/違反報告)
いなり(プロフ) - かりりんさん» コメントありがとうございます♪ぜひぜひ、気長にお待ちください (2022年6月20日 13時) (レス) id: 44292e34f7 (このIDを非表示/違反報告)
かりりん - 続き楽しみです❗️ (2022年6月17日 18時) (レス) id: 2cbb035564 (このIDを非表示/違反報告)
かりりん - こうゆう作品探してました。 (2022年6月16日 22時) (レス) @page38 id: 2cbb035564 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いなり | 作者ホームページ:Twitter → @inary_2055  
作成日時:2020年12月25日 22時

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