【短編集】黒は君の夢。【ブラックチャンネル】

続き ページ18

「オレちゃんへのチョコは…ないんですか？」

「ぎくっ…。」


その瞬間、飲み込んだチョコレートが喉の奥で詰まりそうになる。

そう、私はブラックへのチョコを忘れていたのだ。

…いや、正確には忘れてなんかいない、これでも彼は私の一番大切な人。大好きな人。
忘れるわけがない。

しかし、なぜ今手元にないかと言うと…


「……ぃ……です。」

「？」

「……何あげるか、迷ってたら…今日になっちゃって…。まだ…っ、ないです…っ。」

「……。」


ああ、どうしよう。冷や汗が止まらない。
目の前の彼はショックを受けただろうか。力の抜けた声で”そうですか”と言った。


(謝らなきゃ…)


そう思って口を開けたその時、

「…んっ。」

私は自分の体の異変に気付いた。


体が、熱い。…お腹の下がむずむずするような感覚。


「カカカ、やっぱり人間にも効くんですねぇ…。」

「んっ…ブラック…これ、何…？」

「ただのチョコですよ…、魔界のね。」

「ふ…ぁ…っ。」


体の力が抜けて、へなりとその場に倒れ込む私を慣れたように腕で受け止めると、彼は口角を上げてニィッと笑った。


「……チョコがないのはちょっぴり残念ですが……、これからチョコより甘美なデザートをたっぷり、頂いちゃいますし良しとしましょう。


…そうそう、いい忘れていました。魔界のバレンタインデーは……。」






「男性が女性にいたずらする日」なんですよ…♪


カカカ、知りませんでした…？






END









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とてもすごく気の早いバレンタインデー企画小説です…。冒頭にもあったように、ブラックに渡すバージョンと渡されるバージョン(今回は後者)２パターン書くので、渡すバージョンも公開予定です。

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では、今回はこれで。


いなり

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