【短編集】黒は君の夢。【ブラックチャンネル】

◆禁断の誓い（しみじみ・切ない・暗め…？） ページ15

目を開けると、そこには、淡い青の世界が広がっていた。



ステンドグラスから差す光も、丁寧に敷かれたバージンロードも、目の前に佇むマリア像も。
見渡す限りの全てが、青、青、青。




海の中？…いいえ、違う。




時刻は午前0時。シンデレラの魔法が解ける時間。




誰もいない教会のマリア像の前に、私と"彼”はいた。




「ねぇ、本当にいいの？」




隣にいる彼を見つめた私は、黒いレースと真珠で飾られたウェディングドレスとベールを身につけている。





「Aがやりたいって言ったんじゃないですか。」

「いや、だって…ブラックは悪魔だし…教会なんかにきても平気かなって…。」




悪魔がわざわざ教会に入るなんて、ネズミが自分から罠に飛び込むようなものだ。
充満した清らかな聖の雰囲気に、彼も良い心地ではないだろう。




「オレちゃんを侮らないでください。それに、コレぐらいの力なら余裕です。」




なんてことない、というようにふわふわと胡座をかきながら浮遊しているブラックはいつもと変わらない。





「悪魔が神様の前で誓うなんて…なんだか変なの。」



私がそう言うと、彼は




「……誓えませんよ。悪魔ですから。」




と抑揚のない声で呟いた。




「…うん、分かってる。」



そう、分かってる。





天使と悪魔が結ばれる運命なんて、永遠にこない。





あっちの世界で知られれば、きっとお互いただじゃ済まない。





それでも…。

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