41話 聖女の目撃論 ページ43
「変わらないな、お前は。」
人理永続保障機関カルデア。
前人未踏の聖杯探索、
彼女がここに召喚されたのはつい先日、昨日のことだった。
彼女のクラスはアヴェンジャー。真名を明かさず、召喚直後に霊体化してしまった。
そんな彼女と、天草四郎が会話しているところを偶然にも私は見てしまった。
「相も変わらず人を救おうと必死か？今度も人を導くのか。」
「いけませんか？」
「はっ、巫山戯るなよ。だから私はお前が・・・永遠に憎い。」
彼女のその言葉にはずっと、皮肉が込められているように聞こえた。
天草四郎。ここにいる私ではない私が相対した裁定者であるのに聖杯を求めた英霊。
彼の生涯を私はあまり知らない。彼が何を思い何を考えて全人類の救済という考えにたどり着いたのか、私には分からない。
(ああ、でも。)
物語やおとぎ話なら。
彼女を救いたいから人類を救いたいと思った、なんて想像が浮かんでしまう。
でもそれは有り得ない。天草四郎時貞の救済は個人ではなく全体。彼の救済は個人の為に行っているものではないのだから。
けれど。
私は天草四郎時貞を知っている。並行世界、あったかもしれない世界線の話だとしても。
彼と戦ったことがあり、カルデアで暫く過ごしている。
だから私の知らない顔を見せる彼に少し安心した、と言ったらあとが怖いのでこれは心の奥にとどめておこう。
(・・・なんだ。彼も、人間らしい顔ができるんですね。)
本当に。彼は微笑うか真顔か驚くか。その三択くらいしか表情を見せないから。
きっと彼にとって彼女は大切で、彼女にとっても彼は大切なのだろう。
それが好意なのか憎悪なのか、それとも両方なのかはどちらもよく知らない私には判断できないけれど。
私の妹のような別側面、有り得ない可能性の彼女なら分かるんだろうか。
「永遠ですか。それは残念です。」
思ってもないことを。と私も心の中で思う。きっと、島原のアヴェンジャーと名乗った彼女もそう思っていることだろう。
復讐者。復讐に囚われた人、救いのない人。
まるで相対的だ。天草四郎が救済を司るなら、彼女が憎しみを司る。
彼にないものを彼女は持っている。なら彼女にないものを天草四郎は持っているのだろうか？
(でも、私が口出しすることではありませんね。)
幸あれと祈りながら私は踵を返した。
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コッペリア - renaさん» ありがとうございます。一気よみ、割と時間がかかるのに読んでくださって本当にありがたいです。続編でもよろしくお願いします。 (2018年3月25日 12時) (
レス) id: afa478f1da (このIDを非表示/違反報告)
コッペリア - Mさん» なかなか更新できなくて申し訳ありません…そろそろ続編ですのでそちらの方もよろしくお願いします。 (2018年3月25日 12時) (レス) id: afa478f1da (このIDを非表示/違反報告)
コッペリア - あっぷるさん» ありがとうございます。続編が完結して余ったページで作る予定なのでちょっと時間がかかりますがよろしくお願いします。 (2018年3月25日 12時) (レス) id: afa478f1da (このIDを非表示/違反報告)
rena(プロフ) - とても面白くて一気に読ませていただきました！更新楽しみに待ってます！ (2018年3月24日 23時) (レス) id: 8104f6caff (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - 天草と夢主ちゃんがとても好きです^^*続き楽しみにしています。更新頑張ってください！ (2018年3月18日 21時) (レス) id: bf7dfd3d5f (このIDを非表示/違反報告)
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