20話 叫び ページ23
「何を・・・何をしてるんだあなたは！」
天草四郎が、叫ぶ。苦しそうな顔で私に対して言う。
視界が明るくなっていったのはこいつの声が聞こえてからだった。天草四郎が何かを唱えている、その声に私の体を奪おうとしている何かが治まっていくのが分かった。
だから私は、それを消そうとした。
まだ右腕が動かせなかった。つまり右腕に原因がいるのだと思った。だから私は小刀を振るった。
切断とまではいかなかったが割と出血はしている。けれど右腕の感覚は戻った、もう問題はない。
それなのに、なぜこいつは私に対して叫ぶのだろう。
「・・・何かまずいことでもしたのか、私は。」
「あなたはいつもそうだ。自分を大切にしない。」
「お前が、言うのか。」
疲れていた。身体が、心が。今この場でもう一度宝具を放とうとは思えないくらい、身体が重かった。
「無茶しすぎでしょ、オタク。」
男が呆れた目をこちらに向ける。無茶などしていないのに、無茶をしたと言う。
「止血帯はないから私の服で巻こう！応急処置は・・・」
「ちょっと。ここはレイシフト先じゃないんだし、レイシフト先より早く怪我なんて治るわよ。」
「でも血が・・・」
「大丈夫です。止まってきています。」
藤丸立香が不安げな顔をする。天草四郎は、苦しげな顔をする。私は思わず言った。
「なぜそんな顔をする？」
本当に理解できなかった。
すると藤丸立香は当たり前とも言いたげにすぐに返してきた。
「だって、仲間ですから。」
仲間と、彼女は言う。
その言葉に私は苛立って歯軋りする。仲間、私と藤丸立香が？それは違う、間違っている。
私は天草四郎を殺せばすぐに消える。私怨のためにここにいるに過ぎない、断じて仲間などではない。
「・・・自らを傷つけるのは、やめてください。」
しばらく間を開けて、絞り出したような声で天草四郎は私に言った。
「何故。」
「あなたが自分を犠牲にするのは、もう十分です。」
今更だと言おうとした。笑ってやろうと思った。
それなのにどうしてそんな苦しげな顔で言うんだ。真剣な顔で言うんだ。
「お前も同じだ。」
笑えなかった。おもわず私は目を伏せる。こんな風に苦しげな顔を見たことはなかったと思う。
「・・・違いますよ。」
そんな言葉が上から降ってきた。違わないと、私は思った。
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コッペリア - renaさん» ありがとうございます。一気よみ、割と時間がかかるのに読んでくださって本当にありがたいです。続編でもよろしくお願いします。 (2018年3月25日 12時) (
レス) id: afa478f1da (このIDを非表示/違反報告)
コッペリア - Mさん» なかなか更新できなくて申し訳ありません…そろそろ続編ですのでそちらの方もよろしくお願いします。 (2018年3月25日 12時) (レス) id: afa478f1da (このIDを非表示/違反報告)
コッペリア - あっぷるさん» ありがとうございます。続編が完結して余ったページで作る予定なのでちょっと時間がかかりますがよろしくお願いします。 (2018年3月25日 12時) (レス) id: afa478f1da (このIDを非表示/違反報告)
rena(プロフ) - とても面白くて一気に読ませていただきました！更新楽しみに待ってます！ (2018年3月24日 23時) (レス) id: 8104f6caff (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - 天草と夢主ちゃんがとても好きです^^*続き楽しみにしています。更新頑張ってください！ (2018年3月18日 21時) (レス) id: bf7dfd3d5f (このIDを非表示/違反報告)
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