10話 彼女の恨み言 ページ12
「日本人は黒髪に黄色の肌、それはいつの時代でも変わらないだろう。」
小さく笑った後、男は説明した。外人の血が混じっているということだろうか。
「ならお前はなぜその色だ？」
私が問うと、男は少し顎を触って考え込む仕草をする。そして少し間を起き、どこか照れくさそうに言った。
「私は割と最近の英霊でね、君・・・あなたは私より先輩だろう？」
「江戸幕府の頃の人間だ。」
「なるほど。恐らく英霊になる前の私は、今現在も生きているだろう。」
私は手を止めて、男の顔を見た。
「未来の人間ということか？」
「ああ。そうなる。」
「なるほど。英霊とは、不思議なものだな。」
視線を紙に戻し、書こうとするが、ふと疑問に思い聞いてみる。
「これは、墨はつけなくてよいのか？」
「・・・ん？あ、ああ。それはつける必要はない、聖杯からの知識にないか？」
「聖杯からの、知識・・・言われて思い出した、すまない。」
「いや、いい。書いてもらっている側だからな。」
ペンの使い方、というものを意識して思い出さなければ聖杯からの知識が適用されないのだろうか。
いや、きっとそうなのだろう。そして生きていた頃の反射で聞いてしまった。
「これでいいか、未来の英霊。」
「エミヤ、クラスはアーチャーだ。主に食堂で働いている。」
「食堂の弓兵？食堂を守るのか？」
「いや、カルデアの食堂に好きで入り浸っているだけさ。ちなみに食堂のメニューは日替わりとリクエスト、3時のおやつにデザートなど豊富に取り揃えている。君も食べたくなったら来てくれ。」
「丁重に断らせていただこう。」
エミヤと名乗ったアーチャーに私は紙を渡す。エミヤは興味深そうに見る。
「味噌汁か。具は何が好みかね？」
「特にない。南蛮からの流れ物も食べたことはあるがあまり食には詳しくないのだ、すまないな。」
「いや、ご意見感謝する。名前を聞いても？」
「島原のアヴェンジャー、ということにしてくれ。」
「真名を名乗るつもりはないということか。」
「ああ。事を終えたらすぐに消えるつもりだからな。」
着物の袖を口元に当てる。どことなく懐かしい香りがする。
「事とは？」
エミヤが聞いてきた。いや、聞いてくることはわかっていた、だから私はあの単語を選んだのだろう。
「秘密だ。」
これは牽制だ、これは忠告だ。藤丸立香への牽制だ。
私の邪魔をしないでくれ、私は何も語らない。
だから私の復讐に構うな。という警告なのだ。
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コッペリア - renaさん» ありがとうございます。一気よみ、割と時間がかかるのに読んでくださって本当にありがたいです。続編でもよろしくお願いします。 (2018年3月25日 12時) (
レス) id: afa478f1da (このIDを非表示/違反報告)
コッペリア - Mさん» なかなか更新できなくて申し訳ありません…そろそろ続編ですのでそちらの方もよろしくお願いします。 (2018年3月25日 12時) (レス) id: afa478f1da (このIDを非表示/違反報告)
コッペリア - あっぷるさん» ありがとうございます。続編が完結して余ったページで作る予定なのでちょっと時間がかかりますがよろしくお願いします。 (2018年3月25日 12時) (レス) id: afa478f1da (このIDを非表示/違反報告)
rena(プロフ) - とても面白くて一気に読ませていただきました！更新楽しみに待ってます！ (2018年3月24日 23時) (レス) id: 8104f6caff (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - 天草と夢主ちゃんがとても好きです^^*続き楽しみにしています。更新頑張ってください！ (2018年3月18日 21時) (レス) id: bf7dfd3d5f (このIDを非表示/違反報告)
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