恋を知るちぐはぐ 【ヒソカ】

Five 不思議な力 ページ6

「なぁぁ…まだぁ〜？」



…私、Aは、今最大の危機に直面しています。



『…やば、やば…やばい』

「A〜？ 生きてるかぁ〜？」

『もう心が折れそうです…』



さっき、可愛いって言ってたワンピース。

試着をすれば、背中のぜい肉のせいで背中のチャックが閉まりません。


決して私が太っているわけではない。
ただ、このワンピースのサイズ表記はXSなんだ。

そしてきつめのシルエットだからだ。



「おい、大丈夫か？ 開けるぞ！」

『あ、ちょ…っま、』



シャッ


……呆然するキルア。
自分の顔から、血の気が引いていくのがわかった。



「お前…何してんのかと思ったら」

『ち、ちがうの、これはっ』

「…よし、その服で決まりだ」



……はい？



「おい、脱げ、早く！」

『いや、だから入らないって見てて、』

「だからこれを買うんだよ！ この子豚！」

『誰が子豚だコラァ！！』



結局、チビギャングに無理やり脱がされ、私が着替えて試着室を出ると、何ともう買っていたようで。



『…私のお財布いつ取ったよ、』

「さ、次はアクセサリー見に行くぞ」

『あ、完全スルー』



…何かしら、この劣等感は。
振り回されてるような気がするんですが。



『ねぇ、何であの服買ったの？ 着れないんだけど、私』

「だから、着れるようにするんだよ！」

『…え、』

「せっかくの遊園地だぞ！
他の奴らにも見られるんだぞ！
どうせなら、可愛いお前を見てもらいたいだろっ！」



…なんだかよくわからないけど、キルアが真剣に私の事を考えてくれてるようなので、これは付き合ってあげたほうがいいみたいだ。




『……嬉しい、ありがとう』




…本人に聞こえないよう、ぼそり、呟いて。




「…！」



************


(…？ 何笑ってんのキルア？)

(別にぃ〜？)

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