１３８羽 ページ8
・
再び日向が速攻を決めて、とうとう14対15で烏野は逆転を果たした。影山も日向も絶好調のようで、成功率の高さは今までの非じゃない。
勝利の可能性が少し吹き抜けた気がして。Aは変人コンビを見下ろしながら拳を固く握った。
日向のサーブからラリーが続く。百沢のバックアタックは日向の顔面に当たって、なんとか上がった。今すぐにでも爆笑したい気持ちを唇をかんで抑える。下手くそ、と心の中で呟いた。
「返ってくるぞ！ダイレクトで叩け！」
「(まぁ上がればそれでいいや。しかも今9番は後衛。彼が前衛にいない今、コート上で一番高いのは……。)」
バシッと豪快な。それでいて爽快な音が響く。角川からのダイレクトを、月島は冷静にシャットアウトしてみせた。
「(うちの188cmだけどね。)」
・
長く長く、ラリーが続いていた。その最中、Aのすぐ近くで話す前監督である烏養の話をそっと耳で拾う。
「チビ太郎のあの速攻は、厳密にはファーストテンポではない。」
「(流石、よく分かっていらっしゃる。)」
日向が踏み切って、スパイクの体制に入った。
「セッターがトスを出す辞典でスパイカーの助走、および踏切がすで完了している状態――マイナステンポだ。」
既に飛んだ日向が構えた手元。そこで影山がへトスをだし、速攻が決まった。この攻撃がセットポイントとなり、22対25。まずは烏野が1セットを先取した。
・
続く2セット目。烏野は早速身につけた新技を披露しようとしていた。
西谷がレシーブし、4人のスパイカーが一斉に走り出す。ファーストテンポのシンクロ攻撃。影山が上げたのは田中だった。田中はバックアタックをばっちり決め、大きな声で雄たけびを上げる。とてもいい流れが来ていると、Aは本能的に感じた。
そして試合は進み、24対19の盤面。烏野のマッチポイント。
影山のサーブから始まり、トスが百沢に上げられる。
「(止められないなら、�犲�ける�瓩泙如�)」
少しためて、烏野の3枚ブロックが同時にとんだ。そして打たれたスパイクを少しだけ手に当てる。
「ソフトブロック！」
Aの隣で谷地が叫んだ。勢いが殺されたボールを東峰がぎりぎりで拾い、さらに田中がアンダーで日向にトスを送る。それをしっかりみて、日向は飛んだ。ただじっとボールと……相手の指先をみる。
――傘の先から、雨粒を振り落とすように――
日向は百沢の指先にわざと当てるように、上へスパイクを打った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 511人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もち - 初コメ失礼します。あの、セットポイントとマッチポイントの違いはご存知ですか？所々間違っています。凄腕マネという設定なら、そういうのはキチンとされた方が良いのでは…？ (2020年8月9日 13時) (
レス) id: 9c382bbadc (このIDを非表示/違反報告)
美衣(プロフ) - 135話で、角川の長身選手の身長が１ヶ所だけ間違えて書いてあります。 (2019年8月24日 11時) (レス) id: 17d30bab42 (このIDを非表示/違反報告)
魂祐 - 黄金川が正しいです (2017年6月6日 11時) (レス) id: f41f51613c (このIDを非表示/違反報告)
rina(プロフ) - 面白いです！155羽はどこに行ったんですか？ (2017年1月27日 23時) (レス) id: b2365399a8 (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔 - 雪氷さん» 楽しみに……！ありがとうございます！光栄でござる(*´｀)← 好きと言ってもらえて嬉しいです！投票もコメントもありがとうございます！！ (2016年8月9日 23時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：赤兎リエ輔
| 作者ホームページ：http://nekomoti
作成日時：2016年8月4日 4時
