136羽 ページ6
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試合を目前に控えた、最後の練習の時間。Aはスパイク練習をする百沢に鋭い視線を向けていた。
2mの長身を持った男、9番の百沢。彼の身長にジャンプが加わることで、スパイクの打点は高くその角度はかなり直角で鋭い。そんな彼の打ったスパイクがワンバウンドしてAの元にちょうどやってきた。
キャッチすると、百沢が「すんません。」とボールを取りにかけてくる。「いえいえ。」なんて余所行きの笑顔を向けてボールを差し出し、ぬかりなくその身長を見上げた。
「(わぁ……近くに立つと想像以上にでかいな。)」
多少の不安を残しつつ、Aと谷地はギャラリーへと上がった。
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選手たちが挨拶を交わし、まず月島のサーブから試合が始まる。一般的なフローターサーブを相手はレシーブで受けると、セッターの男は「百沢!」と叫んだ。
「(うちはブロック三枚。さぁ、どうでる……。)」
Aがじっと視線を送る中、百沢は勢いよく腕を振り下ろした。その打点は悠にブロックの到達点を越えている。そのあまりの高さに、角川の選手以外は皆目を見開いた。
「(なにあれ……ブロック関係ないじゃん。難しいことなんて無い、単純な話だ……ただ、高い。)」
奥歯を噛み締めている間にも試合は続く。またも百沢にあげられたトス、西谷が百沢のスパイクを拾うも乱れた。
「すまんカバー!!」
「日向ラスト頼む!」
田中がアンダーでのトスを日向に出す。それを日向が打ちきろうとしたが、空中で打てばつかまるという事を感じた日向はフェイントに切り替えた。
いい判断だったし、日向にしては冷静な選択だった。……しかし、バレーにおいて高さは常に有利に状況を運ぶ。日向のスパイクは百沢の高い壁に寄って阻まれてしまったのだ。
ピッ、っとホイッスルが鳴った。厄介、それいがいどういえばいい。
「翔陽!選択は間違ってないよ、ドンマイ!」
Aが上から声をかければ、日向は「おう!」とピースサインを作って笑った。
続くラリー、乱れたボールがネット上をさまよう。押し合い、日向と百沢の一対一の場面。しかしここでも高さに負け、日向はボールに触れることすら出来ずボールは押し込まれ、コートに落ちた。
「(不利だな……うちで一番の長身の月島でも10cm以上の差がある……。)」
どうしたものか、Aが考え込んでいると、相手のサーブミスで点が動いた。烏野の初得点は相手のミス……どうも気持ちよくは無い。
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もち - 初コメ失礼します。あの、セットポイントとマッチポイントの違いはご存知ですか?所々間違っています。凄腕マネという設定なら、そういうのはキチンとされた方が良いのでは…? (2020年8月9日 13時) (レス) id: 9c382bbadc (このIDを非表示/違反報告)
美衣(プロフ) - 135話で、角川の長身選手の身長が1ヶ所だけ間違えて書いてあります。 (2019年8月24日 11時) (レス) id: 17d30bab42 (このIDを非表示/違反報告)
魂祐 - 黄金川が正しいです (2017年6月6日 11時) (レス) id: f41f51613c (このIDを非表示/違反報告)
rina(プロフ) - 面白いです!155羽はどこに行ったんですか? (2017年1月27日 23時) (レス) id: b2365399a8 (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔 - 雪氷さん» 楽しみに……!ありがとうございます!光栄でござる(*´`)← 好きと言ってもらえて嬉しいです!投票もコメントもありがとうございます!! (2016年8月9日 23時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤兎リエ輔 | 作者ホームページ:http://nekomoti
作成日時:2016年8月4日 4時