いぞん【降谷零】【バーボン】 (ページ10)

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風見side

「おい…最近降谷さんいつにも増して顔色悪くね？」

同僚に言われ、デスクでひたすら仕事をしている上司__降谷さんの方を見た

たしかに、クマが酷い

よく眠れていないのだろうか。

「降谷さん…最近寝れてないんですか？」

コーヒーを渡しながら話しかける

「いや…なんでもないさ…」

あきらかになんかあった

「恋人さんと、上手くいってない、とか…ですか？」

それを言った瞬間、降谷さんはこちらをじっと睨んだ

しまった、立ち入った質問をしすぎたか

そう思った時

「…風見。」

「っはい！」

あああ左遷させられるうう

「…恋人以外に、気になる女性が出来たら、どうする？」

「…へ？」

予想だにしない質問が飛んできので、思わず変な声が出てしまった

「…それは…浮気ということ、ですか…？」

「ち、違う！恋愛感情とかではなく、気になる、という意味で…」

どういうことだ？降谷さんには、そんな女性が出来たのか？

それとも、恋人さんへの気持ちが風化したのか？

「変なことを聞いたな、悪い、仕事に戻れ」

降谷さんはまた自分のデスクに戻っていった

自分は少し頭をスッキリさせようと思い、部屋を出た

仮眠室へ向かう時、そこに見覚えのある女性が立っているのに気がついた

「橘、さんですか？」

「あ、風見さん！零さんがいつも、お世話になってます」

それは降谷さんの恋人、橘Aさんだった。

相変わらず綺麗な人で、先程から男性の視線が痛いほど向いている

「こんなところで何を？」

「零さんに忘れ物を届けに来ました」

「降谷さんでも忘れ物するんですね…」

そう言うと彼女はふふふ、と声を出して笑った

「失礼ですよ風見さん！ふふ、でも確かに」

なんだか面白くなって、2人で笑いあってると、

「楽しそうだな」

一瞬、地獄に落ちたかと思った

橘さんの後ろには自分の上司が立っていた

すごい剣幕で

「ふ、降谷さん！」

降谷さんは橘さんの後ろから手を回し、彼女を抱きしめる姿勢で自分を見つめた

「風見。」

「はい！」

「仮眠室ならもうすぐだぞ」

「はい！失礼します！！！」

すぐさまその場から離れる

ちらりと後ろを振り向くと、楽しそうな降谷さんの顔。

その腕はしっかりと橘さんを抱きしめている

なんだ、降谷さん、橘さんのこと、めちゃくちゃ好きじゃないか。

そしてまた、自分は前を向いて歩き始めた