検索窓
今日:3 hit、昨日:12 hit、合計:28,775 hit

One ページ3

降谷side



「ただいま。」



部屋のドアを開けると、途端にいい匂いがした。



パタパタとスリッパの音が近づいてくる。



『おかえりなさい、零さん。』



「今日は早かったんだな。A。」



『ふふ。マスターが早く帰してくれたの。ねぇ先ご飯にする?お風呂も沸いてるけど…』



そう言いかけたAの腕をすぐさま引き寄せ、深くキスをした。



『ちょ、零さ…』




「ごめん、今日は理性が持たない。三徹目なんだ。」



コツンとAの額に自分の額をあて、彼女と目を合わせる。



『三徹目なら尚更早くご飯食べてお風呂入って休まなきゃ!』



そう言って俺の腕から抜け出そうとするA。



無理だ。今日は



「A。」




『な、に?零さん。』




「今の俺に必要なのはご飯でも風呂でもない。」




『え…?』




「君だ。」




それだけ言うと俺は強引にAをベッドルームに連れ込み、彼女を抱いた。









……………………………………………



「(激しくし過ぎたか)」




隣でスヤスヤと眠る彼女の顔を見ながら、途端に湧き出る自責の念。




こっちも色々限界だったのだ、そう言い聞かせ、Aの前髪を触る。




Aに出会ったのは1年前になる。




バーボンとして人を殺した日、たまには違うバーにでも行ってみようと思い、全く人目につかなそうなバーに入った日だった。




店内は落ち着いた雰囲気で、美しいピアノの音色が俺の心を癒してくれた。



そこでピアニストとして働いていたのが、Aだった。



素敵な音色だったからお礼をかねて声をかけたところ、彼女があまりにも美しく、自分のタイプだったことから、いつの間にかそのバーに通うようになった。




そしてアプローチし続けた結果、このように同棲を始めたのだ。




彼女はいつでも俺のことを癒してくれた。




黒の組織に潜入していることは彼女には言っていないが、公安警察として働いていることは言ってある。



どんな時でも、そばにいてくれた。




もう俺は、彼女無しでは生きては行けない。




『ん…零さん…?起きたの?』




「あぁ。今日も綺麗だよ。A。」




『ホントにわたしの顔好きね…』




それだけ言うと、また寝息を立てて寝始めたA




顔だけじゃないさ。




守りたいのはAだけ。




だけど引っかかるのは




いつまでも心から離れないのは




あいつが愛した








モルト。

setting 2→←setting 1



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (75 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
303人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

RURU(プロフ) - 初めまして!この作品とっても気に入ってます!更新されるまで待っているので頑張って下さい。 (2018年9月30日 9時) (レス) id: b7492cc28b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:菜都 | 作成日時:2018年8月16日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。