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降谷side
「ただいま。」
部屋のドアを開けると、途端にいい匂いがした。
パタパタとスリッパの音が近づいてくる。
『おかえりなさい、零さん。』
「今日は早かったんだな。A。」
『ふふ。マスターが早く帰してくれたの。ねぇ先ご飯にする?お風呂も沸いてるけど…』
そう言いかけたAの腕をすぐさま引き寄せ、深くキスをした。
『ちょ、零さ…』
「ごめん、今日は理性が持たない。三徹目なんだ。」
コツンとAの額に自分の額をあて、彼女と目を合わせる。
『三徹目なら尚更早くご飯食べてお風呂入って休まなきゃ!』
そう言って俺の腕から抜け出そうとするA。
無理だ。今日は
「A。」
『な、に?零さん。』
「今の俺に必要なのはご飯でも風呂でもない。」
『え…?』
「君だ。」
それだけ言うと俺は強引にAをベッドルームに連れ込み、彼女を抱いた。
……………………………………………
「(激しくし過ぎたか)」
隣でスヤスヤと眠る彼女の顔を見ながら、途端に湧き出る自責の念。
こっちも色々限界だったのだ、そう言い聞かせ、Aの前髪を触る。
Aに出会ったのは1年前になる。
バーボンとして人を殺した日、たまには違うバーにでも行ってみようと思い、全く人目につかなそうなバーに入った日だった。
店内は落ち着いた雰囲気で、美しいピアノの音色が俺の心を癒してくれた。
そこでピアニストとして働いていたのが、Aだった。
素敵な音色だったからお礼をかねて声をかけたところ、彼女があまりにも美しく、自分のタイプだったことから、いつの間にかそのバーに通うようになった。
そしてアプローチし続けた結果、このように同棲を始めたのだ。
彼女はいつでも俺のことを癒してくれた。
黒の組織に潜入していることは彼女には言っていないが、公安警察として働いていることは言ってある。
どんな時でも、そばにいてくれた。
もう俺は、彼女無しでは生きては行けない。
『ん…零さん…?起きたの?』
「あぁ。今日も綺麗だよ。A。」
『ホントにわたしの顔好きね…』
それだけ言うと、また寝息を立てて寝始めたA
顔だけじゃないさ。
守りたいのはAだけ。
だけど引っかかるのは
いつまでも心から離れないのは
あいつが愛した
モルト。
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RURU(プロフ) - 初めまして!この作品とっても気に入ってます!更新されるまで待っているので頑張って下さい。 (2018年9月30日 9時) (レス) id: b7492cc28b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:菜都 | 作成日時:2018年8月16日 18時