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母「ラウール、貴方には今日から成人の証として、聖名を授けたいと思います。」
白磁の髪の少年の名はラウール。
ラウール「それで呼び出したの?」
父「そうだ、喜ばしいことだよ。」
ラウール「…うん…」
リカルド「どうしたの?そんな暗い顔して。」
ラウール「いや、別に…」
母「さあ、そこに座って。」
ラウール「はい。」
父「これより、聖名の儀式を始めます。」
母が座る高座の目の前に頭を垂れて座った。蔦が絡まり、花が咲く長い杖を彼の前に掲げる。
母「創造神”ティエラ”の名の下、ラウールに聖名を授けます。」
白い花から発せられた光は、ラウールに降り注いだ。それは、木漏れ日のように温かな光。
母「レプリアに生まれし、ラウールよ。成人の契りとして貴方に授ける名を、”マイト”とここに宣明する。」
リカルドが白とシルバーの装飾がされた大仰な箱から、ラリエットを取り出し、高く掲げながらラウールの頭の上にゆっくりと乗せた。シルバーベースで唐草モチーフのラリエットは、白磁の髪の上でキラキラと輝いている。
ラウール「聖名、ありがたく頂戴致しました…」
父「おめでとう、ラウール。」
母「これからは、貴方にも公務に参加してもらいます。」
リカルド「俺もいるから、心配することはないよ。」
ラウール「はい…」
成人の証として、神様の前で名乗る名前を授かったものの、何か引っかかるものを感じたらしい。部屋に戻ったラウールは、森と広大な川が見渡せるバルコニーに出て、はるか遠くに見える街に思いを馳せた。
シャムウェスト国
試合会場にて。照明の当たるリングでは、ムエタイの試合が行われていた。多くの観客が見守っている。
実況「KO!!シャムウェスト王国のチャンピオン、コウジがまたしても勝利だ!!」
渾身のパンチを相手に叩き込み、KO勝ちした青年コウジは真っ赤なグローブをした手を天に向けると、観客らは歓声を上げた。
コウジ「皆さん…応援、ほんまにありがとう!必ず世界大会でチャンピオンベルトを持って帰ってきます!」
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作者名：アドク | 作成日時：2020年9月14日 10時
