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8年後
東銀座 新橋演舞場
立樹「皆さん、本当にお疲れさまでした!」
スタッフ「お疲れさまです!」
立樹「あー!無事に終わったー!」
グッと伸びをしながら楽屋口を出た。
立樹父「おーい、立樹!」
立樹「お父さん、待っててくれたの?」
外には白いセダンが停まっている。窓から、立樹の父がひょっこりと顔を出した。
立樹父「大千穐楽、お疲れ様。」
車に乗り込むと、母と年の離れた兄もいる。最終日に家族揃って観劇に来てくれたのだ。
立樹兄「お芝居、めちゃくちゃ良かったよ。」
立樹母「まさか立樹が、準主役に抜擢される日がこんなにも早く来るなんて…泣けてくるわ…」
立樹「お母さん、大袈裟だよ〜あはは!」
立樹父「立樹の努力が実を結んだんだよ。よくやった。」
立樹兄「俺の自慢の弟だ!」
兄が立樹の髪をわしゃわしゃと撫でた。立樹は少し照れくさそう。
立樹母「お父さん、お店の時間間に合う?」
立樹父「大丈夫だよ。」
立樹「ん?何かあった?」
立樹母「焼肉、予約してあるの。」
立樹「ホントに?!もう僕、お腹ペコペコ…」
立樹兄「そう言うと思ったんだよな。」
立樹父「もうすぐ着くよ。」
銀座の大通り沿いを、白いセダンは走る。
立樹「ねえ、お父さん。」
立樹父「どうした?」
立樹「この道、危ないかも。」
立樹兄「おいおい、いきなりどうしたんだよ?そんな怖い顔して。」
立樹「いいから早く大通りから外れて!」
珍しく声を荒らげるので、父は車線変更をしようとゆっくりハンドルを切ろうとした。
立樹母「お父さん、前!」
前方から大きな火の玉が飛んでくる。
立樹父「うわっ!」
ハンドルを勢いよく切った事で、車はスリップ事故を起こし、通りの高級店に突っ込んだ。辺りは騒然としている。
立樹「…っ…みんな、大丈夫?」
立樹父「大丈夫だ。」
立樹母「私も。」
立樹兄「立樹も怪我は無いか?」
幸い、丈夫な高級車だったために、全員かすり傷で済んだ。
立樹父「何だあれは…?!」
?「いよいよこの時が来た!火の海にしてやれ!これは僕の命令だ。」
立樹「…えっ…」
燃え盛る二足歩行の大きな怪物を目にした立樹は、震えながら立ちすくんだ。
-→←Track No.1 出発進行!ハピネストレイン エクスプレスグリーン
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作者名：アドク | 作成日時：2023年7月30日 22時
