銀雪戦隊スノーマン -18- (ページ9)

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ラウール「そのつもりだけど…」

口ではそう言っていたが、彼の表情には少し曇りが出た。

リョウヘイ「もう少し、自分に正直になってもいいんじゃない?」

ラウール「え?でも俺は…」

リョウヘイ「人々を救済する。でしょ?」

ラウール「うん。」

リョウヘイ「神職だけじゃないよ、人を救う事が出来るのは。人には無限の可能性があるんだから。」

ラウール「可能性…」

サイレンがけたたましく要塞内に鳴り響いた。

素能玉雪「市街地に黒いローブの男すの!あれは、間違いなくレンすの!!」

ラウール「リョウヘイ、どうする?」

リョウヘイ「行くよ。こんな所で寝てられない。」

ラウール「痛かったら言ってね、俺も一緒だから。」

リョウヘイ「それは頼もしいよ。」

素能玉雪「スノーマン、出動すの!!」

リョウヘイ・ラウール「了解!!」

リョウヘイは包帯を巻いた身体を起こして服を着ながら、少し彼を心配しつつラウールも要塞から走り出した。

スノーポリス市街地

誰よりも最初に駆けつけていたのは、ランニングしていたコウジ。街の中は、真っ赤な血で染まりついている。

コウジ「どこに居んねん。はよ、顔見せてや。」

黒いローブを纏うEVILが現れた地点に立ち、目を閉じていた。ひゅうひゅうと冷たい風が音を立てて吹き付ける。風に乗せて、血の生々しいニオイも漂ってきた。

コウジ「そこや!」

一瞬、風の音が変わった瞬間があった。瞬時に回避し、高く足を振り上げると、自分が立つ場所の左斜め横にEVILが吹っ飛ぶ姿が。

RM-Ⅱ16EVIL「スノーマン、なかなかやるな。」

コウジ「俺、だてにムエタイ15年以上もやってないで。…レン、俺ホンマは戦いたくないねん。分かるやろ?」

RM-Ⅱ16EVIL「俺はレンじゃない!」

コウジ「なあ。もう辞めようや、こんな事。」

RM-Ⅱ16EVIL「そんな愚かな話があるか?!ふざけやがって。」

コウジ「ふざけてるのはどっちや?お前やろ!」

RM-Ⅱ16EVIL「どうやらお前は、俺に殺されたいらしいな。」

コウジ「レンは、俺を斬ることはできひん。だって、そんなヤツじゃないもん。」

RM-Ⅱ16EVIL「ペルフィディアートルム…」

黒いブライトチェンジャーの文字盤からは、漆黒の濁流のようなエフェクトが勢いよく発動し、EVILの身体に絡んでいった。やがて、闇から姿を現したレンが身に纏う、銀糸で唐草の刺繍が施された黒い詰襟のアウターの長い裾は冷たい風に靡き、赤く光る瞳と漆黒のアイメイクのコントラストが不気味さを際立たせる。