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点灯前ではあったが、タツヤは得意げな様子でその女性をクリスマスツリーの前まで連れていく。
タツヤ「これです。」
?「明かりはまだついていないのですか?」
タツヤ「明日の夜なので。」
?「見れて良かった、あの…お名前まだお伺いしてなかったですよね…」
タツヤ「タツヤって言います。あなたは?」
?「アンジュです。」
タツヤ「良い名前ですね。」
アンジュ「タツヤさん、ちょっとよろしいですか?」
タツヤ「はい…」
大きなツリーの下には、ヤドリギのリースが置かれている。アンジュが白く細い指でタツヤの手を優しく握った。突然の行動に動揺を隠せずにいるのか、妙に身体が火照り出す。
アンジュ「私の側に、居てくれませんか…?」
タツヤ「え…?」
吸い込まれそうな程の青い瞳はタツヤの目をジッと見つめる。
タツヤ「…こんな俺で、良いんですか…?」
アンジュ「ええ…もちろんです。」
タツヤの目は虚ろになり、気づけば彼女の事を抱き寄せてそっとキスをしていた。
アンジュ「嬉しい。…もう貴方は、私の物…」
今度は、アンジュの方からタツヤにキスをする。絡みつくような、深い口づけだ。
タツヤ「んっ…!!」
突然苦しみの表情を浮かべたかと思えば、アンジュを抱く腕の力が抜け、その場に崩れ落ちるように倒れた。彼は息をしていない。
アンジュ「これが、愛に飢えた人間の愚かな末路…案外簡単でしたね…ふふっ…」
タツヤの腕に着いていたブライトチェンジャーを外し、その場を立ち去った。
翌日
スノーポリス 雪氷発電所付近
ダイスケ「メリークリスマス!!」
リョウヘイ「おはよう、メリークリスマス。」
出勤中のリョウヘイの背後から、ダイスケの元気な声が飛んできた。クリスマスだからか、いつもよりも弾んだ声である。
ダイスケ「ねえ!俺、昨日見ちゃったんだけどさ、タツヤ、昨日めちゃくちゃ綺麗な女の人とロータリーに居たよ…!マジで二次元。」
リョウヘイ「彼女出来たのかな?」
ダイスケ「クリスマスシーズンに彼女か〜やっぱり、好きな人と過ごすっていいよね。俺も嫁連れて来てるから、一緒に過ごすわけなんだけど…ふふふっ」
ダイスケのポケットの中には、黒髪ツインテ―ルの女の子のぬいぐるみが忍ばせてある。それを大事そうに撫でながら満面の笑みを浮かべていた。
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snow(プロフ) - クリスマスエピソードの更新お疲れです!私もクリスマスエピソードを投稿しないとです! (2020年12月13日 14時) (レス) id: 26186c7a56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アドク | 作成日時:2020年12月13日 12時